STEP9
資金調達マニュアル
スケジュールを作成する
著者
砂川 大
株式会社スマートラウンド
CEO
資金調達の準備フェーズは自分がやれば完了することなので、スケジュールというよりもこのチェックリストで管理すれば大丈夫です。
一方で資金調達の実行フェーズは、複数の投資家を相手にピッチ、交渉、デューデリなどが同時進行する可能性があります。以下を実現するためにもスケジュールとステータスの管理をしっかりしましょう。
アポイントをミスらない
もらった宿題をタイムリーに返す
投資家の(会議などの)社内日程を考慮にいれる
戦略的にアポイントの順番を入れ替える
法律に則った手続きをふむ
余裕をもって依頼や通知を出す
なお、smartroundのアタックリスト機能を使うことで、アプローチする投資家のステータス管理や優先順位づけを行うことができます。詳しくはこちらをご覧ください。
以下は、投資家1社を相手にしたときの資金調達プロセス(3ヶ月)を分解したものです。このプロセスが(特に前半は)投資家の数だけ同時進行します。ステージや相手の投資家によって、一部順番や必要な期間が変わりますので、あくまでもイメージとしてご覧ください。

例えばエンジェル投資家によるシードラウンドの投資であれば、特にデューデリジェンス(投資対象の価値やリスクなどを調査すること=略して「デューデリ」「DD」ともいう)も行われずにテンプレート通りのJ-KISSで投資が1ヶ月以内で実行されるケースもあります(エンジェルの場合、投資は個人判断なので会議などはありません)。
一方でレイターステージになると、VCによるDDにも時間を要しますし、投資契約書の内容が複雑になり弁護士による確認に時間を取られるケースも多くなります。さらに、関係者が多くなり、例えば、新旧株主間での利害調整にも時間がかかることがあります。
投資家がVCの場合は、投資委員会から払込みまで1週間で終わることもあります。一方、事業会社の場合には、それが1ヶ月以上かかる場合もあります。いずれにしても、投資家自身で、または投資家間でお互いにスケジュールをコミットしてもらい、守ってもらうようにリードインベスターに仕切ってもらうようにしましょう。
また、ボタンの掛け違いのないように、基本条件はスタートアップの方からDDの前に提示し、投資委員会の前までにはリードインベスターと契約条件でしっかり合意しておきましょう。投資委員会後は契約の締結を待つのみという状態にしておくことが重要です。
気をつけたいのが、2019年の外国為替及び外国貿易法(通称「外為法」)の改正による投資スケジュールへの影響です。外為法の定めにより「外国投資家からLP出資を受けているファンドは、対象業種に該当するスタートアップに投資するたびに、日本銀行を経由して、財務大臣および事業所管大臣に事前届出をする」必要があります。
以前はこの対象業種が限定されていたこともあり、あまり問題にはならなかったのですが、2019年の改正により多くのスタートアップが対象業種になってしまいました。結果、外国投資家をLPにもつベンチャーキャピタルは、スタートアップに投資するたびに、事前届出をしなければならなくなりました。
スタートアップ側のスケジュール上で、問題となるのはこの後です。投資家は届出をしてから30日間は「待機期間」として、投資契約を締結していても「払込み」をすることができません。短縮制度で2週間に短縮する制度もありますが、確実ではありません。したがって、投資家と話しをするときは、投資元となるファンドは外為法上の事前届出をする必要があるのか、着金にはどれくらいの日数を要するのかを予めしっかり確認しておくことが重要です。ちなみにJ-KISSを利用する場合は株式ではないので、外為法は適用されません(正確には転換される時に適用されます)。
臨時記録 | 上記の第2フェーズ以降は通常、リードインベスターと並走することになりますが、リードインベスターが決まる前の第1フェーズでは、複数の投資家と面談を重ねることになります。いつ誰に会って、どんな資料を提出し、どんなフィードバックがあり、ネクストアクションはなにか、を記録しておかないと大切なチャンスを逃すことになりかねません。 |
|---|---|
余裕のある日程 | 投資家は自社だけを相手にしているわけではありません。場合によっては、他の案件よりも後回しにされたりすることもあります。また、スタートアップは年中無休かもしれませんが、投資家はそうは行きません。休日・祝日はもとより、ゴールデンウィークや夏休みなど季節的な事情、大きなイベントがある、などで動かなくなることがあります。 |
確定日程の確認 | 投資家の社内会議は、数週間に1度とかの頻度で開催されることが決まっている場合があります。そのタイミングを逃すと、翌月まで判断がなされないということもありえますので、予め担当者に日程を確認しておくべきでしょう。 |
会社法の規定 | 第三者割当増資を行うにあたって、取締役会設置会社である場合には、開催する株主総会の招集通知は(定款による招集期間の短縮が行われていない場合)開催日の8日前までには発送する必要があります。これを7日前と勘違いして株主総会が無効となり、投資の実行が遅れるというケースもあります。 |
順番の工夫 | 複数の投資家と話すときは、本命を後回しにした方が、ピッチも小慣れてきますし、他が興味を示してくれた時に交渉力にもなります (これは「STEP14:アポイントをとる」でも説明します) 。 |
資金調達にかかる時間は、投資家がエンジェルなのか、VCなのか、にもよりますが、起業家と、そのエンジェルやVC担当者との個人的な相性、どの程度DDに必要な資料が揃っているか、同じラウンドで投資を検討している投資家の有無や顔ぶれ、などにも大きな影響を受けます。
私自身も初めてお会いしてから数週間で増資実行に至ったケースもあれば、関係構築、DD、投資契約や他の株主との調整などで、多くの時間を要した事もあります。特にステージの早い段階での資金調達の場合、事業計画が想定通り行かないことも多いので、
調達後に、その投資家とちゃんとやっていけるか?
苦しい時も一緒に乗り越えていけるか?
調達後に求められる情報開示・共有事項はどの様なもので、実行可能なものか?
起業家・経営者として、投資家・株主に求めるものは何なのか?
などを、整理確認しながら資金調達を行うと良いかも知れません。
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