STEP1

資金調達の基本を理解する

資金調達マニュアル

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資金調達の基本を理解する

著者

砂川 大

株式会社スマートラウンド

CEO

監修

鈴木 吾朗

LYNX Inc.

代表取締役

伊藤 健吾

D4V

General Partner

資金調達の方法

未上場の株式会社の資金調達方法は、一般的に以下の4つしかありません。

この時、中小企業とスタートアップでは資金調達の考え方が変わります。まず自社利益を源泉とするだけでは普通、スタートアップが目指す急成長は望めません。同様に助成金や補助金も、創業当初に得られたらラッキーな程度で、実際には規模が小さすぎて急成長の燃料としては不十分です(しかも意外に事務コストがかかります)。

一方、現在の日本は融資の資本コストが著しく低いのでデットファイナンスは積極的に活用すべきですが、こちらも制約事項が多くそれだけで必要な資金が得られることはまれです。デットでは通常担保が必要ですが、創業間もないスタートアップには担保となる資産がないケースがほとんどです。そのため、デットはエクイティの裏付けがあって初めて可能になることが多いのも実情です。

つまりスタートアップの資金調達は自ずとエクイティファイナンスが中心になります。したがって、ここではエクイティファイナンスによる資金調達を中心に説明していきます。

エクイティファイナンスの基礎知識

スタートアップの経営者は、エクイティによる資金調達を行うにあたって、まず基礎知識を身につけておく必要があります。こうした原則を踏まえ後述する資本政策の中で資金調達を計画します。

時価総額の公式

会社の時価総額(バリュエーション)は、株価と発行済株式総数をかけた額(積)になります。言い換えれば、時価総額と株価と発行済株式総数のうち2つが確定すれば、もう1つは自ずと確定するということです。株価は、相場が可視化されている上場株とは違い、スタートアップと投資家が相対で交渉して決めます。発行済株式数は予め分かってるので株価を交渉することと、時価総額を交渉することは同じ意味となります。

資金調達と持分比率の希釈化

会社が新たに募集株式を第三者に割り当てて資金調達をすると、もともとの株主の会社の持分比率を押し下げます。例えば創業者一人で発行済株式の100%を持っている会社のプレマネーバリュエーション(資金調達前の時価総額)が1億円のケースで、VCがその会社の第三者割当増資に応じて1億円を投資すると、ポストマネー(資金調達後の時価総額)は2億円に増えますが、創業者の持分比率は50%に減ります。これを持分比率の希釈化(もしくは希薄化)といいます。後述するように、この希釈化が会社のコントロール権や、エグジット時のキャピタルゲインなどに大きな影響を与えるのです。

持分比率と議決権

株式会社には「会社の所有者と経営者は別」という原則があります。そのため、会社経営上の最重要事項を決定する機関は、会社の所有者が集まる株主総会となります。この株主総会の決議を左右する議決権は、特に議決権を別途定める種類株式を発行しない限り、発行済株式の持分比率と同じになります。したがって株式を第三者に提供することは、その分の自社のコントロール権を失うということと等しいのです。

資金調達は何度も行う

成功しているスタートアップの資金調達が一回で終わる事はまずありません。最初から事業が潤沢な利益を産み、特に資金調達が必要ないケースを除き、急成長しているスタートアップは何度かにわけて資金調達ラウンドを行うことになります。

事業に集中するためにも、資金調達は一回で終わらせてしまえばいいじゃないか、と思われるかもしれません。でもそうはいかない理由があるのです。第一に、投資家がスタートアップに多額の投資を一度に行う事はありません。第二に、創業初期の時価総額が小さい時に大きな額の資金調達を行うと希釈化が激しく、会社の所有権のほとんどを受け渡してしまうことになります。

したがってスタートアップは、上場までに数回(2〜5回程度が一般的)資金調達をすることになります。このように段階的に資金調達を行うことをステージ・ファイナンシング(もしくはマイルストーン・ファイナンシング)といいます。

資金調達のタイミング

スタートアップは事業の資金ニーズにあわせて、いつでも資金調達をすればいいというわけではありません。できるだけ希釈化を避けるために、マイルストーン(中間目標)を達成し、投資家が自社の時価総額を一段階高く評価できるタイミングを狙って資金調達をしましょう。投資家はスタートアップの成功可能性に賭けて投資します。マイルストーンを達成すると成功確率が上がったと見なされて、時価総額を上げることができるのです。

一方で、希釈化を気にしすぎて細かく刻みすぎると、経営者がずっと資金調達をし続けることになります。本業を疎かにするのは本末転倒です。事業の成長の大きな一歩となるマイルストーンの達成にあわせて資金調達をしましょう。

もちろん資金調達を行なっている最中で資金が尽きてしまっては元も子もありません。資金調達が完了するまで少なくとも6ヶ月はかかると考えて余裕をもって計画することが重要です。この気持ちの余裕は投資家との交渉にも少なからず影響します。

いくら調達すべきか

ステージ・ファイナンシングでは、次のマイルストーンに到達するのに必要な資金を調達するのが基本となります。その上で、マイルストーン達成を材料にした次回の資金調達を完了するまで、6ヶ月の余裕を上乗せして調達しましょう。

スタートアップの資金は、成長を加速させるための燃料なので、調達したら勇気をもって戦略的に投下する必要があります。ただし、一旦アクセルを踏むとバーンレート(月間資金減少額)が上がり、その後、簡単には下げられなくなるのも事実です。そうした視点を加味した上で資金ニーズを算出して、資金調達に臨みましょう。

また経済環境に注意を払うことも重要です。経済環境が先々悪化することが予想されるような局面では、多少の希釈化は覚悟してより多くの資金を予め調達しておくと良いでしょう。

各ラウンドのイメージ

テック系スタートアップの各ラウンドのイメージを書き出すと以下のようになります。これが正解という訳ではないので、あくまでも一つの参考としてご利用ください。

なお、ラウンドの呼称である「シリーズA」は、元来は初めて優先株式を使うラウンドだから(A種優先株式を発行するから)シリーズAラウンドと呼れるのですが、実際にはその前のシードステージのファイナンスで優先株式が使われることもあります。

また、シリーズA以前のラウンドとして創業から近い順に、エンジェル、プレシード、シード、プレシリーズAなどの呼称が存在します。いずれも正確な定義はありませんし、4回やらないといけないわけでもありません。

ラウンド

プレシード

シード

シリーズA

シリーズB以降

状態

創業したてPOC成立

初期ユーザーのPMF売上立ち始め

PMF成立
ユニットエコノミクスの改善
基礎チーム
月間売上1千万
年間売上3倍増

スケール期
組織が確立月間売上3千万
年間売上2倍増

相手

家族
友人
エンジェル

エンジェルシードVC

VC
CVC

VC
CVC
事業会社

期待リターン

50倍以上

30倍

10倍

4倍

株式種類

普通株J-KISS

普通株J-KISS

優先株(普通株を使う場合はシリーズAとは呼ぶべきではない)

優先株

プレマネーバリュエーション

1〜4億円

2〜8億円

5〜20億円

10億円〜

資金調達

1〜5千万円

0.5〜3億円

2〜5億円

5億円〜

資金ニーズ

プロダクト開発

プロダクト開発

組織組成
プロダクト開発

広告宣伝費組織組成プロダクト開発


監修からのコメント

バリュエーション算定は事業家と投資家の相対で決まりますが、相場より高すぎると投資検討までのハードルが上がりますし、低すぎると議決権が希望する金額が調達できない、希薄化するリスクがありますので類似企業のプレスリリース、関連情報、謄本などを参考に適正なバリュエーションをイメージしておくことをお勧めします。

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