STEP18

DD資料を共有する

資金調達マニュアル

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DD資料を共有する

著者

砂川 大

株式会社スマートラウンド

CEO

DDとは何か

デューデリジェンス(DDと省略していわれる)とは、投資家が投資をするにあたって発行会社に一定の資料の提出を求め、

  • その事業に成長性や将来性があるか

  • 法令遵守されているか

  • 訴訟リスクはないか

  • 反社会勢力との関係はないか

  • 計算書類の数値に間違いはないか

  • 会計基準に違反していないか

  • その他、投資をする上で重大な障害はないか

を精査し、さらにマネジメント・プレゼンテーションを行って疑問点や懸念点について発行会社の経営者と直接対話する一連のプロセスを指します。

エンジェル投資家もある程度の確認を行うこともありますが、DDは主にベンチャーキャピタルがリードする資金調達ラウンドで実施されます。これはベンチャーキャピタルが、ファンドの出資者に対して説明責任を追っているため、投資判断を厳格に行う必要があるからです。

マネジメント・プレゼンテーションは通常、DDにある程度目処が立った時に、発行会社の経営者が、ベンチャーキャピタルの意思決定を行うパートナー陣に対してプレゼンテーションを行い、あわせて質疑応答をするものです。

DDには、ビジネスDD、財務DD、法務DDの3つがあり、自社で全てやる場合と、自社ではビジネスDDだけを行い、会計事務所、法律事務所などに財務DDや法務DDを委託する場合とがあります。全て自社で行う場合は比較的早く終わることが多いですが、委託先が行う場合はスケジュールやボリュームを予め確認しておいた方がいいでしょう。

またベンチャーキャピタルによっては、コスト削減のために財務DDや法務DDを投資委員会後に行うケースがありますが、この場合は注意が必要です。投資委員会から承認された後に財務DDをした結果、一方的にバリュエーションを下げられたといった事例もあります。もしこの時点で既に他の投資家を断ってしまっていたら後戻りできません。

こうした状況を避けるために、契約条件は投資委員会前までにトップとしっかり握っておくことが重要です(担当者では心もとないので)。もしDDの結果次第で条件を変更される可能性があるのであれば、投資委員会前に財務DD・法務DDを行ってもらうべきでしょう。それも叶わないのであれば、契約締結まで他の投資家との協議を続ける必要があります。

必要となる資料は

DDに必要となる資料は以下のようなものがあります。中には組織図や就業規則を求める投資家もおり、これが全てではありません。不足している資料は、プロであるリードインベスターの担当者と一緒に作りましょう。

1: ピッチデッキ

事業計画スライドともいう。詳細データをつけたバージョンが好ましい。ステージが後になればなるほど、解像度の高い資料が必要になる。

2: 資本政策

設立からエグジットまでの会社設立、増資、株式譲渡、ストックオプション発行などが網羅されているもの。

3: 財務計画(3-5期分)

収益計画とそれから導き出された資金計画、およびその調達計画。とても重要。

4: 事業上のKPI推移(直近3期)

仮説検証の結果、重要視しているKPIの推移。

5: 履歴事項全部証明書

会社の名称、本店所在地、資本金、目的、役員の指名が記載されている登記事項の証明書。3ヶ月以内のものを要求されることが多い。

6: 会社定款

会社の設立、組織の管理、会社の目的や事業内容、決定事項を具体的に記載した会社の憲法。ここに記載のある内容と会社の状態が異なると会社法違反となって無効となる。

7: 株主名簿

個人・法人の別を問わず、会社の株主(新株予約権保有者も含む)の一覧。必ず最新の状態に更新されていることが求められる。

8: 決算書(直近3期分)

正式には財務諸表のこと。貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・キャッシュ・フロー計算書などが財務諸表に該当する。

9: 法人税申告書控全表(直近3期分)

現在および過去の税務上の適法性などを確認するためのもの。例えば利益操作がないかなど。

10: 資金繰表(直近12ヶ月分、予想表12ヶ月分もしくは黒字化まで)

会社を維持するのに必要な資金があるか、いつまでもつのかを月次で確認するためのもの。

11: 月次試算表実績(直近24ヶ月分)

月次試算表とは、会計期間を1ヶ月に区切って作成する月単位の決算書のこと。月次決算書、残高試算表ともいい、貸借対照表と損益計算書の2つの財務諸表で構成される。

12: 役員名簿

社外役員など、非常勤を含む全ての取締役が記載された一覧

13: 役員経歴書

役員の詳細な経歴を記載したもの

14: 不動産、主な資産および知的財産の明細

不動産をもつスタートアップは少ないが、設備などの資産や(申請中も含め)知的財産権の権利内容がわかる書類。

15: 会社案内、営業用資料報道記事

会社紹介をする時の資料や、自社プロダクトのパンフレット、会社が媒体に紹介された時の記事など。

16: 監査法人による短期調査資料(ショートレビュー)

上場を準備するにあたり問題となるような過去のトラブルや現在の体制などをチェックしたもの

17: (既に投資を受けている場合)投資契約書・株主間契約書

前回までの資金調達ラウンドが今回のラウンドに何か影響を与えるのか確認するため

この中で最も重要なのが、1. ピッチデッキと2. 財務計画です。ピッチデッキについては「STEP6:ピッチデッキを作成する」で詳しく述べているのでそちらをご参照ください。財務計画は、ピッチデッキで説明した事業の価値を最大化するために、いつどれくらいの資金が必要なのかを明確にして、どのようにそれを調達するのかを明らかにするものです。

これは例えば「50億円投資しないとモノにならない事業で、シードで5,000万投資を受け大きく希釈化し、その後のラウンドで必要な資金を調達できず、結果的に最初の5,000万円も無駄金になり、全員損をする」といった状況をさけるための計画です。

いつまでに用意すべきか

STEP9:スケジュールを作成する」でも述べたとおり、DDを実施するにはコストがかかるため、投資家の案件検討会議で承認がでて、タームシートで条件を基本合意したら、DDが開始されます。したがって、案件検討会議後にすぐにDDを開始できるように、各種書類を会議日よりも前に準備しておきましょう。

どこに整理すべきか

スマートラウンドのライブラリにフォルダーを作成して、そこにDD書類を格納しましょう。フォルダー毎に閲覧権限をつけることができ、フォルダのURLをそのまま投資家に共有できるので便利です。

注意点

投資家の担当者は基本的に味方です。案件検討会議が実施されたら、以下について教えてもらいましょう。

  • 投資家の社内で提起された懸念点など

  • 用意した書類に不足はないか

  • マネジメント・プレゼンの日取り、段取り、キーパーソン

  • 投資委員会の日程と決定方法

DD書類を共有する際に、特に知的財産がある場合には予め機密保持契約(NDA)の締結を要請しましょう。米国では一般的にベンチャーキャピタルはNDAを締結しないものですが、日本の場合は締結に応じてくれるベンチャーキャピタルも多くあります。


監修からのコメント

調達ステージが早くなってきているので、設立第1期中の増資というケースも増えてきております。その場合、決算書や税務申告書類などの資料はそもそも無いと思います。一方で投資家としては、投資する前に「全部知っておきたい」と思うもので、「この投資家なら」と思える相手であれば、何か資料やデータを求められた時は、手元に有るか、無いか、ある場合は、直ぐに提供するのが良く、無い場合は、どの程度必要か、いつまでに必要か、時間をかけてでも作成した方が良いか、など確認したうえで早めにレスポンスするのが良いかと思います。

また、投資家はデータの形式も生データを好みます。例えば数値計画などPDFで頂くケースもありますが、Excelでも頂くようにしております。(このやり取りで数日かかる事もあります。)

なお、「必要資料」では有りませんが、DDにおいて、既存ユーザーや取引先、起業家の前職の知り合い、既存株主などに、ヒアリングすることもよくあります。


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