STEP4
資金調達マニュアル
投資判断の基本を理解する
著者
砂川 大
株式会社スマートラウンド
CEO
監修
倉林 陽
DNX Ventures
Managing Director
投資家が、スタートアップを評価する軸は大雑把に以下のとおりです。
要素 | 判断軸 | 内容 |
|---|---|---|
経営者(陣)の人となり | 誠実さ | 嘘をつく人は論外。詐欺師と変わらなくなる。 |
地頭の良さ | 勉強脳は不要。理解が早く臨機応変が大事。 | |
実行力 | どんな障害に直面してもやり遂げる力。 | |
情熱 | 世界を変えたいという熱い思い。 | |
素直さ | 人の意見をちゃんと聞く、やってみる。 | |
巻き込み力 | 魅力的な人、助けたくなる人、一緒にやりたい人。 | |
経営者(陣)の経験・能力 | 経歴や実績 | これまで実際に成し遂げたこととその外部評価。 |
市場の知見 | ターゲットとなる市場に関係する知識や経験。 | |
技術的能力 | プロダクトに関係する技術の知識や能力。 | |
事業開発能力 | 商売を行う上で必要なスキル。 | |
プロダクト | PMF | お金を払ってでも使いたいと思われているか。 |
イノベーション | 既存の解決策から飛躍的に良くなった特別な要素。 | |
競争優位性 | 他の解決策と比較して優れている部分。 | |
市場 | 市場の大きさ | 自社プロダクトが関係する領域の市場規模。 |
対象範囲 | 自社プロダクトが得ることのできる最大の売上。 | |
市場の成長性 | その市場がどれくらいのスピードで成長しているか。 | |
参入障壁 | その市場に自社は参入できるか、他社はできるか。 | |
経済性 | ビジネスモデル | 誰から何の対価として、何時いくらもらうのか。 |
ユニットエコノミクス | 顧客単位の収支(経済性)がプラスになっているか。 | |
拡張性 | 上記の経済性を保ったまま急拡大できるのか。 | |
期待リターン | 投資家としてリターンが望める投資なのか。 | |
投資家 | 投資戦略 | ファンドの投資戦略と合致しているか。 |
ポートフォリオ | ファンドの状態に照らし合わせて適当な投資か。 | |
付加価値が提供できる | 投資家として付加価値を提供できる先か。 |
これらの重要度や優先順位は、投資家や投資案件によって変わりますが、おしなべて経営者や経営陣に比重を置くことが多いといえます。それは失敗したスタートアップの60%が、経営陣が原因であったことからも説明がつきます。
また、ある調査では、投資判断の比重の平均約50%が経営者(陣)であり、その比率はアーリーであればアーリーであるほど高くなります。これは創業初期はプロダクトもビジネスもまだ不確定で、ピボットする可能性も高いため、経営者(陣)以外を評価しても結果的に妥当性がなくなってしまう可能性が高いからです。
ピッチの結果、VCの担当者が興味をもってくれたらVC内で投資検討が始まります。VCによって違いはあるものの、一般的に投資をするためには、案件検討会議、マネジメント・プレゼン、投資委員会の3つの代表的な会議を経てその可否が決まります。
案件検討会議は、担当者がパートナーたちにスタートアップを紹介し、投資検討するためにDDを実施するかを決める会議
マネジメント・プレゼンは、DDの一部としてスタートアップの経営者が、パートナーたちに対してプレゼンをする会議
投資委員会は、決定権をもつパートナーたちがDDの結果を踏まえて最終的に投資するか否かを決める会議
通常こうした会議は、例えば毎週木曜日とか毎月第3金曜日とか、開催日が決まっているものなので、担当者に予めスケジュールを聞いておき最短のタイミングで決裁を得られるように準備しておくことが肝要です。
また案件検討会議の結果、出席者たちから出た質問や懸念点、判断のキーパーソン、その投資家の決裁方法(全会一致制、多数決制、拒否権制、黄金票制)もあわせて担当者から聞いておき、最終的に投資してもらえるように戦略を練るとよいでしょう。
担当者は伴走者なので、濃淡こそあれ、普通は会議を通してくれるように助けてくれます。予め投資家の社内にインプットしてくれたり、逆に社内の反応を見てくれたりします。把握している懸念点は、それぞれの会議までに潰せるところはできるだけ潰しておきましょう。
投資家は、基本的に同じ業界に1社しか投資出来ないので、本当にこの会社がこの業界の勝ち馬なのか?という目線でスタートアップを評価します。そういった意味でも他の会社と同じになることがない「経営者」はとても重要な要素になります。そして経営者を評価する上で、私はScott Kuporのいう”egomaniacial”が最近しっくりきています。自分が成功するという圧倒的な自信をもちつつ、humble(謙虚)な人、というのに自分が惹かれているのだと最近わかりました。これがleadershipやexecutionにつながると思います。また、特にB2Bやっていると、経営者は知識以外のキャラの部分とかを含めてfounder-market fitが大事だなと痛感します。
もう一つ補足するとすれば、投資家の投資戦略はファンドのビンテージによって変化することがあるということでしょうか。ファンドの組成直後はアーリー中心だったのが、4年経ったらレイター中心に投資をしているということもよく起こります。
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