スタートアップの経営者の中には、どんな時に株主総会を開催する必要があるのか、よくわからないという人も少なくありません。法的に求められるのは大まかにいって、それぞれ以下のようなケースです。
開催する必要のあるとき | |
|---|---|
定時株主総会 | ・毎事業年度1回必ず開催する必要がある |
臨時株主総会 | ・計算書類の承認以外の決議を必要とするときは、いつでも開催できる |
種類株主総会 | ・ある種の種類株式を保有している株主の権利が損なわれる可能性があるとき |
なお、取締役会非設置会社では、経営にかかわる事柄について何でも株主総会で決議してもいいとされていますが、取締役会設置会社では反対に、会社法や定款で定められた事項以外は決議してはならないとされているので注意が必要です。
定時株主総会は毎事業年度の終了後の一定の時期に開催する必要があり(会296条1項)、その時期は、株主名簿の基準日にかかる規則と関係から(会124条2項)、事業年度末日から3ヶ月以内に開催することが一般的です。
一方で臨時株主総会は、必要があるときにいつでも臨時に招集することができます(会296条2項)。すなわち、定時株主総会として招集されたもの以外の株主総会は、すべて臨時総会となります。
なお、株主の議決権行使を不当に妨害するような日程は許されませんが、株主が問題なく権利を行使できるようであれば休日や祝日の開催も可能です。
スタートアップでは往々にしてVCとの株主間契約書や投資契約書において、事前承認、事前協議、事前報告といった条項が設けられています。こうした条項における事前とは、会社の正式な意思決定機関に諮る前に、という意味ですので、取締役会設置会社であれば取締役会の前に、取締役会非設置会社であれば株主総会の前に、それらの条件を満たす必要があるので注意しましょう。
株主総会は、取締役会非設置会社では取締役が、取締役会設置会社では取締役会が、以下を決定して招集します(会298条)。
項目 | 取締役会非設置会社 | 取締役会設置会社 |
|---|---|---|
招集の決定者 | 取締役 | 取締役会(代表取締役が執行) |
決議方法 | 取締役の過半数による同意。 | 議決に加わることの出来る取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う。また、決議に特別の利害関係を有する取締役は、議決に加わることが出来ない(会369条)。 |
決議内容※ | ・株主総会の日時及び場所 | ・株主総会の日時及び場所 |
招集決定の書面 | 取締役決定書 | 取締役会議事録 |
※書面投票及び電子投票は採用しないことを前提にそれらに関する定めは省略しています。
なお、取締役会非設置会社では、会社法上、書面作成の義務が緩和されていますが、実務では、記録を残すために取締役会設置会社の規定に準じた形で、取締役決定書や招集通知を作成しておくことが一般的です。
株主提案権とは、株主が株主総会の招集権を持つ取締役に対して、株主総会での新たな議案・議題(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る)を提案し、株主総会の目的事項を請求できる権利です。 株主提案権には、以下の2種類があります。
取締役会非設置会社 | 取締役会設置会社 | ||
|---|---|---|---|
議題提案権会303条 | 資格要件 | 議決権を行使できる株主 | 以下のいずれかを有する株主※1 |
行使期限 | いつでも | 株式総会の開催日の8週間前まで※1 | |
議案提案権会304条 | 資格要件 | 議決権を行使できる株主※2 | 議決権を行使できる株主※2 |
行使期限 | いつでも | いつでも | |
提案した議案の通知を要請する権利会305条 | 資格要件 | 議決権を行使できる株主※2 | 以下のいずれかを有する株主※1※2 |
行使期限 | 株式総会の開催日の8週間前まで※1 | 株式総会の開催日の8週間前まで※1 |
※1:定款の定めにより条件を緩和することができます。
※2:過去3年以内に議決権の1/10以上の賛成を得られなかった議案と同様の議案は提出することは出来ません。
取締役または株主の提案に対して、議決権を行使できる株主全員が書面または電磁的記録により提案内容に同意した場合は、株主総会を開かずに提案を可決する旨の株主総会決議があったとすることができます(会319条1項)。
また、取締役が株主全員に対して株主総会に報告しなければならない事項を通知した上で、当該事項について株主総会で報告しないことについて株主全員が、書面または電磁的記録により同意した場合は、当該事項が株主総会に報告があったとみなすことができます(会320条)。
ただし、上記により決議・報告を省略した場合でも、以下項目を含む株主総会議事録を作成する必要があります。
株主総会の報告・決議があったものとみなされた事項の内容
決議事項の提案をした者の氏名又は名称
株主総会の報告・決議があったものとみなされた日
議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
株主全員からの同意書と株主総会議事録(それぞれ書面または電磁的記録)は、株主総会の決議があったものとみなされた日から10年間、本店に備え置かなくてはならず、注意が必要です(会318条2項、会319条2項、会施72条)。
取締役は、議決権を有する株主に対して以下のとおり、株主総会開催にかかる招集通知を発しなければなりません(会299条)。
取締役会非設置会社 | 取締役会設置会社 | |
|---|---|---|
招集通知の方法 | 招集通知は書面や電磁的方法によらないことも可能。口頭や電話での通知も認められている。ただし記録は残した方がよい。 | 招集通知は書面で行う必要がある。ただし議決権を行使できる株主の同意がある場合は、電磁的方法で行うことができる。 |
招集通知の送付対象 | 対象となる株主総会において議決権のある株式を、その株主総会の基準日の時点で保有している株主(基準日を設けていない場合は、当該株主総会開催日の当日にその株式を保有している者)。なお、以下の株主への招集通知は不要 | 対象となる株主総会において議決権のある株式を、その株主総会の基準日の時点で保有している株主(基準日を設けていない場合は、当該株主総会開催日の当日にその株式を保有している者)。なお、以下の株主への招集通知は不要 |
招集通知の発出のタイミング | 株主総会の開催日の8日前(中1週間前)まで。ただし定款の定めにより短縮することができる。 | 株主総会の開催日の8日前(中1週間前)まで。 |
招集通知への会議目的事項の記載等 | 招集通知への会議目的事項の記載や記録は不要。 | 招集通知への会議目的事項の記載や記録が必要。 |
招集通知への書面添付 | 招集通知には計算書類や事業報告(監査報告を含む)の添付は不要。 | 招集通知には計算書類や事業報告(監査報告を含む)の添付が必要。 |
※招集通知は発信主義を採用していますので、会社法で決められた日までに適切に発信(発送)されていれば、万が一それが到達していなくても適法とされています。
招集通知が発せられなかった場合や、記載に誤りがあった場合には、総会招集手続きに瑕疵があったものとして総会決議取消事由に該当するとされています(会831条)。
株主総会で議決権を行使できる株主全員の同意があった場合、招集手続きを経ることなく株主総会を開催できます(会300条)。招集通知の省略には、計算書類・事業報告書等の提供省略も含みます(会437条)。
また、招集手続きがとられていなくても、株主全員(委任状による代理人を含む)が株主総会に出席した場合、株主総会は有効とされます。株主が自分1人のような場合は、この規定を活用します。
スタートアップが株主総会を開催する場合、一般的には開催日の8日前(中1週間前)までに招集通知を発出する必要があります。ただし、これは本来15日前(中2週間前)までとされる招集通知発出期限の例外として非公開会社に認められるものであり、株主総会で書面投票・電子投票を採用するとこの例外が適用されず、原則どおり15日前が適用されるので注意が必要です。
なお取締役会非設置会社では、定款で定めることにより招集通知の発出期限を中1週間よりさらに短縮し、例えば2日などに変更することができます。
招集通知には、株主総会を招集することについて取締役会(取締役会非設置においては取締役の決議)において決定した以下の事項を記載する必要があります(会299条4項、会施規63条)。
項目 | 株主総会招集の法定事項 |
|---|---|
株主総会の日時 | ・株主総会の日時 |
株主総会の場所 | ・株主総会の場所 |
株主総会の議題・議案 | ・株主総会の目的事項がある場合は、その事項 |
その他 | ・議決権の代理行使について、代理権(代理人の資格を含む)の証明方法、代理人数その他 代理人の行使事項を定める(定款に定めのある場合を除く)場合、その取扱い事項 |
※書面投票・電子投票に関する事項は省略しました。
また、取締役会設置会社の定時株主総会の招集通知には、事業報告と計算書類(あれば連結計算書類も)を添付することが必要です。これは、株主にあらかじめ株主総会の目的事項について検討し、議決権行使の準備をする機会を与えるためです。(会437条、会施規133条)。
一方、取締役会非設置会社の定時株主総会は、招集通知自体が法的には求められていないため、事業報告等の添付書類の提供も必要はありません。とはいえ、実際には、招集通知や添付書類は、取締役会設置会社の規定に準じる形で提供することが一般的です。
招集通知の発送後は、原則として株主総会の目的事項・議案を変更することはできません。したがって、株主総会の目的事項・議題を後から変更したい場合には、招集通知を再度発信(発送)して、招集手続きをやり直す必要があります。
会社は、定款に定め、招集通知に添付する株主総会参考書類や事業報告等の一部を一定期間ウェブで開示することで、株主に対してこれらの事項にかかる情報を提供したものとみなし、書面等による提供を省略することが認められています(会施規94条1項)。
しかしながら、株主の数が限られているスタートアップでは、後述のとおり株主の承諾を得て電磁的方法で招集通知を送付した方がメリットが大きいといえるでしょう。
会社は、予めその用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、株主から書面又は電磁的方法による承諾を得られれば、招集通知に記載すべき事項を書面に代えて電磁的方法により発信することができます(会299条3項、会施令2)
株主の承諾は総会ごとに得る必要はなく、いったん承諾を得れば継続的に電磁的方法を採用することができます。一方、株主はいつでもそれを撤回することができます。
電磁的方法による招集通知は、株主が会社に通知した宛先に発すればよく、書面による招集通知と同様、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなされます(会126条5項)。
電磁的方法で招集通知の発信を行う場合は、招集に際して提供すべき事業報告及び計算書類等についても電磁的方法によらなければなりません(会施規133条2項2号)。
なお、株主から電磁的方法による提供を受けない旨の申し出があったときは、書面により招集通知を提供しなければなりません。
株主総会に出席できない株主は、代理人による議決権の行使ができます(会310条1項)。その場合、株主は委任状を会社に提出しなければならず、この代理権の授与は、株主総会ごとに行わなければならないとされています。
会社は、定款で定めることにより、議決権行使の代理人資格を株主に限定したり、出席できる代理人の数を制限することができます(会310条5項)。また会社は、例えば定足数の必要な決議について、会社が株主に対し第三者に議決権の代理行使をさせるように勧誘することもできます。
株主または代理人は、予めその用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、会社から書面又は電磁的方法による承諾を得られれば、委任状に記載すべき事項を書面に代えて電磁的方法により会社に提出することができます(会310条3項、会施令1)。
株主が電磁的方法による招集の通知を承諾した者である場合には、株式会社は(正当な理由がある場合を除き)電磁的方法による委任状の提出を承諾する必要があります(会310条4項)。
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