2024-02-09

      【弁護士が解説】スタートアップの株主総会の実務とスケジュール smartround活用法も紹介

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      こんにちは、弁護士の五十嵐です。普段はスタートアップ専門の弁護士として活動しているのですが、smartroundを一ファンとして推していたら、この度コラムを執筆する運びとなりました!!

      このコラムでは、スタートアップの株主総会を効率化する「株主総会smartround」を活用した株主総会のスケジュールについて、私がスタートアップ内部のコーポレート担当として普段行っているやり方や、法律上注意すべき点などを併せてお伝えします。

      また、株主総会のやるべきことがわかるチェックリストもございます。こちらからダウンロードできますので、本記事と併せてご活用ください!

      スタートアップのバックオフィスを担当されるみなさまのお役に立てていただければ幸いです。

      五十嵐 将志さんプロフィール

      弁護士。弁護士法人アインザッツ( https://einsatz.law/ )代表。1986年生。慶應義塾大学文学部美学美術史学専攻、早稲田大学大学院法務研究科卒業。

      都内のスタートアップ法務を専門とするブティック系法律事務所での勤務を皮切りに、独立開業後も一貫してスタートアップ法務に取り組む。2021年には地方発のベンチャーキャピタル設立に携わり、法務・行政手続の全てを担当した。2022年からは複数のスタートアップにメンバーとしても参画している。

      スタートアップの資金調達やベンチャーキャピタルの組成・運営に明るい。

      注意事項

      ・本コラムは法的助言を目的とするものではありません。個別の案件については、専門家に各々固有・格別の事情・状況に応じた適切な助言を求めてください。
      
      ・本コラムは日本における一般的なスタートアップの実務を想定して記載しています。ここでいうスタートアップとは上場前の、非公開企業でイノベーションにより急成長を目指す社歴の浅い株式会社を想定しています。
      
      ・会社法の規定の一部は、各会社の定款で会社法の内容とは異なる内容を定めることを許容しています。株主総会を実施する時は、必ず自社の定款をご参照ください。
      
      ・本コラムは2024年1月時点の法令に基づいて作成されています。

      目次

      STEP0:開催の決定

      株主総会には①定時株主総会と②①以外の株主総会(いわゆる臨時株主総会)があります。また、これらとは別に会社法には③種類株主総会が定められています。

      したがっていわゆる「株主総会」には大きく3つの種類があります。

      株主総会の種類についての図

      株主総会マニュアルより、株主総会の種類についての図を抜粋。今回は実際のフローを中心に解説していきますが、定義的な部分はぜひこちらのマニュアルを参照ください。

      定時株主総会であれば、開催の日時が大まかに決まっていますので、バックオフィス側からアナウンスを出すことも多いです。

      それ以外の場合は資金調達やストック・オプション発行などのイベントに関連して開催が決まります。

      STEP1:全体のスケジューリング

      1-1 スケジュールの仮決め

      株主総会は、定時株主総会にせよ、臨時株主総会にせよ、この時期までに開催しなければいけないという日が存在していると思います。

      例えば、定時株主総会であれば多くの会社において、定款上事業年度終了から3ヶ月以内に開催する必要があると定められています。
      実際には税務申告や投資家への決算書提出との兼ね合いで決算から2ヶ月以内に開催する会社が多いでしょう。

      このように、まずは「絶対に株主総会を終わらせておかなければいけない締切」を確認し、株主総会招集通知発送日や、株主が社内決裁に必要とする期間などを逆算し、全体のスケジュールを決定します。

      株主総会開催の全体スケジュール

      思考過程としては以下のような順番です。

      ①株主総会開催日時を決める

      • 絶対に株主総会を終わらせておかなければならないデッドラインとなる日を確認。定款の定め、投資契約、税理士さんの税務申告のスケジュールなどをチェックする。

      • その日またはその日以前の日で、役員全員が出席できそうな日時を確認し、その日時を株主総会開催日時として仮決めする。

      ②株主総会招集通知発送日を決める

      • ①で決めた株主総会開催日から招集通知発送期限に間に合うよう逆算し、株主総会招集通知発送日を仮決めする。招集通知発送期限は定款を確認(多くの場合は中7日)。

      • 場合によっては株主の内部決裁にかかる時間も考慮して招集通知発送日を期限よりも少し早めに設定することも検討する。

      ③取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日時を決める

      • ②で決めた株主総会招集通知発送日または②の日以前の日で、役員全員が出席できそうな日時を確認し、その日時を取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日時として仮決めする。

      ④(取締役会設置会社の場合)取締役会招集通知発送日を決める

      • ③で決めた取締役会(取締役会非設置会社の場合は取締役の合議)開催日から招集通知発送期限に間に合うよう逆算し、取締役会招集通知発送日を仮決めする。
        招集通知発送期限は定款を確認。定款に定めのない場合は1週間(会368条1項)。

      • 取締役全員の同意がある場合には省略可(会368条2項)。

      ⑤ドキュメントの準備の締切日を決める

      • 取締役会議事録案、株主総会招集通知案及び参考書類案並びに株主総会議事録案の準備にかかる時間を考慮し、ドキュメントの準備の締切日を定める。

      1-2 役員全員との日程確認・調整

      上記のようにスケジュールを仮で定めたら、このような日程で問題がないか役員全員に再度確認します。

      会社法上、役員には取締役会への出席義務があり、また株主総会についても事実上出席義務があります。そのため、取締役会と株主総会の日は出席できるようにスケジュールを空けておいていただく必要があります。

      「その日時は空いていない」と役員に言われてしまったら仮決めしてあったスケジュールを適宜変更します。招集通知の発送日などを最短の日程で組んでいた場合にはどんどん前倒ししていくことになります。

      役員全員との日程の再確認を経てスケジュールが定まったら、(1)取締役会の日時と(2)株主総会の日時を役員全員に周知し、スケジュールを空けておくようお願いしておきましょう。

      株主総会開催までの期間は、株主や社内メンバーのスケジュールによって異なりますが、準備も考えると最短でも10日ほど、長い場合は2ヶ月ほどかかります。自社に合った期間を見極めてスケジュールを決めていきましょう。

      STEP2:ドキュメントの準備・事前連絡

      2-1 ドキュメント案のドラフト

      スケジュールが決まったら、次にするべきことはドキュメントの準備です。

      具体的には①株主総会招集通知案、②同参考書類案、③取締役会議事録案(取締役会非設置会社は取締役決定書案)を作成します。
      可能であれば④株主総会議事録案の作成も行って構いませんが、こちらは後回しでも大丈夫です。

      これらのドキュメントをあらかじめ作成しておくことで、議案や日時が具体化され、議論や準備がしやすくなります。

      二度手間及びコピペミスを避けるため、①株主総会招集通知と②同参考書類案(①、②をあわせて招集通知セットと呼んでいます)を先に作成し、③取締役会議事録案ではこのセットから引用するのがおすすめです。

      必要に応じて専門家に作成を依頼するのも良いでしょう。

      【注意事項】
      定時株主総会の場合は、役員の重任手続が必要かどうかの確認も欠かさず行ってください。
      任期が1年であれば例年通りの対応でカバーできますが、2年以上の場合は毎年イレギュラーな対応が必要になり、手続が漏れるケースが散見されます。登記も必要な手続になりますので、ご注意ください。

      2-2 ドキュメント案のチェック

      ドキュメント案ができたら、代表取締役にチェックしてもらいましょう。
      議案の追加などがあったり、日時の変更が必要な場合には再度修正します。

      2-3 株主への根回し(※必要な場合のみ)

      日時が決まったら、必要に応じて株主に向けて事前に根回しをします。

      投資契約上、事前通知・承諾が必要な場合もあるでしょう。
      そうでなかったとしても、株主総会招集通知の送付時に初めて日程、議案を周知すると、直前すぎて対応しきれない、という株主が出てくる場合もあります。

      そのため、議案の内容や株主の都合にもよりますが、①議案②招集通知送付日程③株主総会日程については株主総会開催日の1ヶ月〜3週間前を目安に株主に頭出ししておくとスムーズです。

      特に銀行や大企業系の株主の中には、組織体系上、社内での決裁プロセスにもある程度の時間を必要とするところもあります。どれくらい前に告知すれば期間内に権利行使対応ができるのかを確認し、早めに伝えておくことがポイントになります。

      【Tips】
      この段階からsmartroundを通じた株主総会の準備を始めておくとスムーズです。
      
      特にsmartround未登録の株主や、初めてこの会社の株主総会でsmartroundを使う株主には、操作説明、電磁的方法による招集通知の送付申請への承諾など、smartroundを通じて株主総会にて権利行使をしていただくまでにいくつかのプロセスを踏んでいただく必要があります。
      
      会社にとっても株主にとってもsmartroundを通じた権利行使の方が圧倒的に便利ですので、早めにご準備をお願いしておくのがお勧めです。
      電磁的方法による招集通知の送付申請メール文面

      株主はアカウントを作成せずに委任状を提出することもできるため、アカウント開設などのご負担なく、対応いただけます。smartroundで株主総会を開く際は、招集通知をメール(=電磁的方法)で送付します。会社法の規定により、電磁的方法によって招集通知を発する場合は事前に「電磁的方法による招集通知の送付申請」に承諾いただく必要があります(299条3項前段)。

      2-4 司法書士との連携(※必要な場合のみ)

      もし議案に登記が必要なものがある場合は、事前に担当の司法書士さんにも①議案②スケジュールについて共有しておきます。

      早めに連携することで、費用のお見積りやスケジュールの調整をスムーズに進めることができます。

      また、登記の観点から議事録案をチェックいただくことも可能です。場合によっては株式発行の登記申請書の準備に着手してもらうなど、株主総会開催後の登記手続も前もって進められます。

      STEP3:取締役会決議(または取締役決定)

      株主総会の招集に先んじて、取締役会設置会社は取締役会決議を、取締役会非設置会社は取締役決定を事前に行う必要があります(会298条4項・1項)。

      3-1 株主総会の招集の決定

      株主総会を開催するには、まずは会社として「株主総会を招集するぞ!」という意思決定をしなければいけません。「株主総会を招集するぞ!」という意思決定を行う機関は、取締役会設置会社では取締役会取締役会非設置会社では取締役です(会298条4項・1項)。

      そのため、取締役会設置会社では取締役会の招集も行う必要があります。
      取締役会の招集は株主総会の招集と比べて形式が厳格に定まっていないため(会366条1項、会368条1項・2項)、進めやすい方法で招集してください。

      招集通知を発する場合、通知には一般的に①開催日時、②場所、③議題等を記載します。

      【Tips】
      私が支援しているスタートアップでは、役員が原則として全員参加している定例ミーティングのスケジュールを確認し、2週間後以降あたりで開催される、直近の定例ミーティングを会社法上の取締役会にスライドさせています。
      
      2週間ほど期間を空けるのは、議事録類の準備と役員への周知が必要だからです。
      
      この際、役員が全員参加している定例ミーティングを取締役会にスライドさせるのもポイントです。一から日程調整をするのではなく、全員参加の定例ミーティングを形式的に取締役会扱いにすることで、監査役や社外取締役も含めた日程調整の手間を省け、運営側の負担を軽減できるのでおすすめです。
      
      会社によって取り入れられない部分もあるかと思いますが、ご参考になれば幸いです。

      3-2 議事録案の修正

      実際の取締役会(または取締役の合議)が終了した後、事前に作成しておいた取締役会議事録案(または取締役決定書案)を修正し、完成させます。

      多くの場合は役員が全員出席し、取締役全員の賛成を得られていることと思いますが、そうでなかった場合にはきちんとそれを反映させていきます。

      3-3 押印または電子署名

      取締役会を開催後、議事録を仕上げて役員の押印もしくは電子署名を集めます。

      役員の押印もしくは電子署名および議事録の保管会社法上で定められている手続です(会369条3項・4項、371条1項)。

      STEP4:株主総会招集通知送付

      4-1 招集通知送付

      smartroundで招集通知を送付します。郵送やメールで対応する方には、別途送付作業が発生します。

      ※詳しい操作方法はこちらのご利用ガイドをご覧ください。

      4-2 委任状の集計・確認

      株主総会当日までsmartroundを見守り、委任状未提出の株主には適宜リマインドします。

      みなし決議の場合は全員分の同意を得なければならないのでご注意ください。

      株主総会smartroundの集計画面

      郵送・メール対応の方の回答もsmartroundに集約、格納できるため、回答状況や議決権数も一元的に管理できます。

      STEP5:株主総会開催・議事録対応

      5-1 株主総会当日

      株主総会の当日、定刻となったら実際に株主総会を開催します。ほとんどの会社において実際に株主が株主総会に足を運ぶことは稀です。そのため現実には会場に役員しかいないという状態になる方が多いでしょう。

      しかし、株主がふらりと現れる可能性もありますので準備はしておくべきです。もし、誰も来なかったとしても形式上開催する必要がありますのでご注意ください。

      5-2 議事録の作成

      当日の出席者及びsmartroundを通じた権利行使を含む委任状による出席者の議決権行使状況から、株主総会の成立を確認したら、①株主総会招集通知②参考書類smartround上の議決権数等のデータをベースに、株主総会議事録をドラフトします。

      作成後、内容を代表取締役に確認してもらい、内容を確定させます。

      5-3 議事録の押印・電子署名(※必要な場合のみ)

      登記などの手続で押印・電子署名が必要な場合、議事録の押印もしくは電子署名を集めます。

      この際、押印や電子署名など、どの方法で確認を取るかは議題や申請方式によって異なります。ケースバイケースのため、詳細は司法書士、弁護士などの専門家に確認した上でご対応ください。

      5-4 議事録の格納

      smartroundのライブラリに議事録を格納します。

      smartround内部のライブラリ画面

      smartroundのライブラリは基本的に格納しておくべき資料のフォルダ名がプリセットされているため、株主や士業にも簡単にわかりやすく共有できます。最新版を格納する、という運用にすれば、社内でドキュメントが散逸することも防げます。

      5-5 登記対応(※必要な場合のみ)

      登記が必要な議案の場合、司法書士と連携して登記手続を行います。

      5-6 株主総会の概要を備忘録にまとめる

      一通りの手続が終わったら、コーポレート系のイベントや株主総会、取締役会、定款変更などについてまとめておく備忘録に、今回の取締役会や株主総会についても記録しておきます。

      取締役会や株主総会に関しては①日程、②決議内容、③その他備考などについて記録しておくと便利です。

      【Tips】
      例えば「いつの株主総会で何を決めたか」という概要を整理しておくことで、パッと確認したい時に都度議事録まで確認する手間が省けます。
      
      特に、取締役の報酬改定や株式の譲渡承認、株式分割、軽微な定款変更などは登記されないまたは正面からは登記されませんので、これらについてもまとめておくとコーポレート管理上便利です。
      
      また、この先数年間分の取締役会や株主総会の開催日程を仮置きしたり、役員の重任時期や責任限定契約に関する定款変更など、今後決めておくべき決議事項などについても気づいたタイミングでメモしておくと便利です。
      
      記録しておくことで、スケジュールで慌てることや、決議漏れなどのミスを防げるため、より精度の高い対応が可能になります。

      最後に

      ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

      今回ご紹介したフローは、STEPごとにチェックボックス形式でまとめました。

      こちらからダウンロードできますので、ぜひご活用ください!



      五十嵐先生、ありがとうございました!

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