「生涯技術屋として、技術屋がワクワクする未来に飛び込める支援を」エンジェル投資家 漆原茂さん

2024-03-29

  • インタビュー

生涯技術屋として、技術屋がワクワクする未来に飛び込める支援を

エンジェル投資家 漆原茂さん

Share

Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家ならぬ"エンジニア投資家"の漆原茂さんにお話を聞きました。

漆原茂
1987年 東京大学工学部卒業。同年沖電気工業入社。 同社在籍中1989年より2年間、 スタンフォード大学コンピュータシステム研究所客員研究員。大規模基幹系システムを多数手がけ、最先端技術の導入を推進した。 2000年7月、ITコンサルティング企業のウルシステムズを起業、代表取締役社長に就任。 2006年大阪証券取引所(現 東京証券取引所)JASDAQ スタンダードに上場。 2011年よりULSグループ株式会社 代表取締役社長を兼任。 

投資条件や投資実績がわかる!漆原茂さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)

漆原さんが審査員をされる「QWS STARTUP AWARD 2026」の応募は2026年1月13日(火)まで!

まずは、漆原さんについて教えてください!

ULSグループ株式会社の代表取締役社長を務めつつ、生まれも育ちもエンジニアの漆原です。よろしくお願いします。

「自分で自由にコードを書き続けるために起業した」と言っても過言ではないほど生粋の技術屋です。毎晩コードを書きながら寝落ちするのが幸せです。昨日も一昨日もコードを書いていました。

学生時代からコンピュータを自作してOSまで書くほどものづくりが好きで、システム開発がやりたくて沖電気工業に入社しました。同社在籍中、2年ほどスタンフォード大学に留学し、日本とシリコンバレーの違いに触れて人生が動きます。

当時の日本は高い志を持ったエンジニアに本気で活躍できる場が提供されていない一方、シリコンバレーでは高い技術を持ったエンジニアが自ら起業し大きなビジネスをリードしていたんです。日本のエンジニアもこういう「二刀流の仕事」をしなければいけないと強く思いました。

そんな私が2000年に創業したULSグループ株式会社は「攻めのIT」に特化したITコンサルティング企業です。分業されることが多いコンサル業務とエンジニア業務を、優秀なエンジニアであれば1人で手掛けられます。そんな高い技術を持ったエンジニアとコンサルティングの二刀流人材を集めて、ワクワクする最先端のデジタル社会を作っています。

幸い素晴らしい仲間とお客様に恵まれ、2006年に上場できました。その後組織体制も大きくなり、ULSグループ含め複数の会社の代表取締役を兼任するなどポジションが増えていますが、私自身は実は創業以来ずっと変わらず「戦略的ITの実現」に取り組んでいます。

また、複数企業の代表を勤める傍ら、技術屋としてテクノロジー系スタートアップの支援もしています。更に未踏人材を育成する未踏アドバンスト事業のプロジェクトマネージャも務めてますし、AI利活用を促進する場をつくるために一般社団法人Generative AI Japanを立ち上げたりしています。

漆原さんがスタートアップ支援やエンジェル投資を始めたきっかけは何ですか?

技術で起業する人から色々相談を受けたのがきっかけです。

技術の中身の相談から始まり、エンジニアの組織作りやソリューション開発、事業化のやり方、スケールするビジネスシステムの作り方など、だんだん広がっていきました。特に「技術者で起業し、今も現役で上場会社を経営している」という例が他にあまり無いようで、資金調達や経営戦略なども頻繁に相談されるようになったんです。

その中で何件か出資に至ることもあったのでエンジェル投資家と呼ばれたりしますが、僕自身はあくまで技術屋、敢えて言えば"エンジニア投資家"です。普通の投資家には理解されなくても、素晴らしい技術をもったチームには是非挑戦させてあげたい。だから技術スタートアップにシードで投資するケースが多いです。

僕が起業した2000年は、技術屋が自ら起業するケースはほとんどありませんでした。技術屋は自分が興味があることにのめり込む天才ですが、事業面など知らないことは避ける傾向にあります。実際、本当に良い技術を持っているのに「ビジネスは面倒臭いからやりたくない」「やりたいけどどうやっていいかわからない」というエンジニアがあまりにも多いです。だから経営と距離がある。

ただね、技術がどんなに優れていても、それが社会に実装されなければ意味が無いんですよ。誰かが経営しないといけない。

それでも技術屋には「自分たちにだけ見えている未来」があります。最先端の技術がもたらすであろう、ワクワクするような未来社会が。それなら社会に実装しにいこうよ、未来が見えてるからこそ自分でやるんじゃないの?と思うんです。

技術はエモいです。そしてシリコンバレーで技術者だって経営できることを実感しました。ビジネスもエモいことを知ったので、両者のエモさを融合させるために僕にできることをしているという感覚です。

現在はどのような企業(または人)を支援していますか?また、支援先とはどのような関わり方をしていますか?

素晴らしい技術を持っていて、本気で未来を創ろうとしているな、こいつらやばいな、と感じたチームを支援しています。

僕は必ず技術の中身とチームを見ますね。素晴らしい技術経営チームがあればこそ、大きい市場が創れるんですよ。単に人数がいてもだめです。他人の真似ばかりしたり流行りを追ったりしてても本当のイノベーションにはなりません。少数であっても唯一無二なキレッキレの技術チームこそ世の中に変革を起こせるんです。

相談されたら、私にできることはなんでもやります。エンジニアチームと一対一で面談したりコードレビューをやることもあります。相談内容として多いのは、資金調達に加えて技術チームのマネジメントや数字のプレッシャーと現場のストレスをどう解消するか、事業のフェーズによって技術面でどんなハードルがあるか、それをどう乗り越えるかなどですね。

投資先のスタートアップ経営陣と一緒に、他のVCの方々と対峙することも多々あります。私はあくまで起業家の味方です。

私のライフワークは「生き生きとしたエンジニア組織を作る」ことなんです。それがIT業界全体の活性化に繋がるからです。「強い技術チームを作る」ということに関して最近一番嬉しかったのが、日経ビジネスが発表した「社員の士気が高い企業ランキング」で弊社が2位になったことです!

オープンワークの大澤社長が「隠れた優良企業」と評価するのが、2位に入ったIT(情報技術)コンサルティングのウルシステムズ(東京・中央)。こちらも社員の裁量権が大きく、分業されることが多いコンサル業務とエンジニア業務を1人が手掛ける。

もう一つの特徴は、多くの社員が同社の理念に共感していることだ。創業者の漆原茂会長はIT大手出身だが、ITエンジニアが顧客の顔も見ずに、切り分けられた仕事をただ黙々とこなす業界の構造に疑問を抱き、00年にウルシステムズを起業した。かつて留学した米シリコンバレーで見た、エンジニアが力を存分に発揮できる環境に近づけたかったという。もちろんエンジニアの独り善がりでは顧客は離れてしまう。

顧客にフルコミットするため、やらないことリストとして「お客様のためにならないIT導入」「技術者の自己満足だけの仕事」など12カ条を明文化。実現できそうにない経営目標は廃止した。こうした施策が、業界構造に疲弊した他社の社員を引き付ける。「心に火が付いた」と転職してくる人もいる。

引用:日経ビジネス「社員の士気が高い企業ランキング

私はこれからもエモくてキレッキレの技術チーム作りを探求していきます。そしてそのノウハウが少しでも他の起業家のお役に立つなら、いつでもお話ししましょう。

魅力を感じる起業家はどのような人ですか?

本気のオタクです。技術でもビジネスでもなんでもやり遂げようとする、突破力のある技術起業家。

私は本気の技術チームに底知れぬ魅力を感じます。ビジネスサイズや組織規模は全く関係ありません。大きい会社が凄くてスタートアップが偉くないなんてことは全くないです。だから「先輩起業家」と若い方に呼ばれるのもちょっと嫌なんですよね。人に上下はないじゃないですか。

市場規模などから説明してくる起業家もいらっしゃいますが、私はそれよりもその人が何に本気かを知りたい。中でも、誰もが心豊かに暮らせる世界を本気で思い描いている人は魅力的ですね。結局我々は皆同じ人間なので、人類が皆幸せである未来にまっすぐな人に惹かれます。

僕は、大人たちが若者たちに「日本はダメだ」とか後ろ向きなこと言ってちゃダメだと思うんですよ。そんなことを言われたら若い人が萎縮してビビっちゃいます。本当に良くない。むしろ、大人は子供に素晴らしい夢を見させてあげられなきゃダメです。

スタートアップの世界が好きなのは、未来への思いが強い人たちが集まっているからです。「日本はダメだ」なんて言う人、スタートアップの世界にはいないでしょう?過去を振り返って嘆いている暇があるなら、とっととコード書いてデプロイするのがスタートアップですから。

周りの人たちがどんなに否定しようが関係ない。未来を見ている技術者たちが集まって「俺たちにやらせてくれよ」と本気で吠えている。極めて優秀でアホみたいに真っ直ぐに上向いてる人たちが大好きですね。きっと彼らが創る未来は素敵です。

今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!

近い将来、小学校でもIT技術と経営を学ぶようになるでしょう。だから当然のように皆が技術もビジネスもわかる二刀流になっていくはずです。

つまり世代が交代すれば、技術がわからない人間は経営できなくなる時代が来るということです。優秀な技術屋は技術がわからない経営陣の元では働かないので、その会社はデジタルで勝負できなくなります。

今は技術屋がビジネスを学んだりビジネスマンが技術を学んだりして、双方が歩み寄るタイミングだと思います。その歩み寄りをサポートすることで技術屋がワクワクする未来に飛び込めるなら、僕は業界を超えて何でもやるつもりです。

技術経営や事業の方向性、チームビルディングに困っている方はぜひご連絡ください。技術屋として等身大でお力になります。

ぜひ、どういう未来を作りたいかを真っ直ぐに語ってください。未来が見えているなら、その一歩を踏み出してください。いくらでもサポートします。

Startup Nextを運営するスマートラウンドでは、スタートアップが無料で使えるデータ共有プラットフォーム「smartround」を提供しています。株主総会や資本政策など、少しでも業務を効率化したい方は無料登録の上、ご利用ください。

またその他にも、スタートアップ向けのお役立ち資料・テンプレートをご用意しています。ダウンロードはこちらから

Share