
2026-04-01
インタビュー
クリエイターが集まる街 天王洲から、スタートアップの未来をつくる
寺田倉庫 月森 正憲さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。
今回は寺田倉庫の月森さんにお話を聞きました。
月森 正憲
寺田倉庫 執行役員CEO付ミライ創造室 室
1998年寺田倉庫に入社後、約7年間倉庫現場にて庫内オペレーションに従事。2012年に宅配型トランクルーム「minikura」をリリース。
2013年に倉庫システムをAPI化し複数企業と新規事業を共同創出。また、倉庫・物流に悩むスタートアップ6社を支援、うち2社では社外取締役を務める。
2022年よりミライ創造室室長として、スタートアップ支援とまちづくりを融合させた活動を開始。まずは月森さんについて教えて下さい!
私は1998年に寺田倉庫に入社しました。最初の配属から7年間は物流倉庫の現場で業務に従事していて、フォークリフトに乗るなど、現場作業そのものをやっていました。
その後、営業を経て、倉庫の新規事業の企画を担当することになり、もう15年ほど新規事業に携わっています。
第1弾として2012年に「minikura(ミニクラ)」というサービスを立ち上げました。「日本のお部屋を、広くする。」をコンセプトにWeb上で管理できる宅配型トランクルームサービスです。ミニクラは0→1のところから、倉庫オペレーションの構築やシステムの企画まで手がけてきました。14年経った今では、元々あった事業と肩を並べるぐらいの規模にまで成長できたかなと感じています。
約10年間ミニクラの責任者を務めた後、現在のスタートアップ支援事業に取り組んでいます。
スタートアップ支援事業をするようになったきっかけは?
スタートアップ支援の事業化は2024年からですが、実は以前から、ミニクラを活用してスタートアップの事業立ち上げ支援のようなことをやっていました。もう10年ほど前からですね。
ミニクラの倉庫システムを、最初は大手企業に提供していました。その中でスタートアップとも出会うようになったんです。スタートアップはいいアイデアを持っていながらも、倉庫を立ち上げるというハードルが高い。そこを私がサポートする役割として、事業立ち上げの支援もしていました。
今は「Creation Camp TENNOZ」というシード期のスタートアップを対象としたインキュベーションプログラムを運営しています。2024年にスタートし、今は第3期の募集中です。
このプログラムを立ち上げた思いとして、「起業家の環境を改善してあげたい」というのが根底にあります。
今のスタートアップを見ていると、事業に取り組む時間と空間が足りず、創造の余白が失われているように感じるので、そんな起業家の環境を何とかしたいという気持ちから始めました。
対象となるスタートアップの条件は?
創業3年未満のシード期のスタートアップが対象です。創業前でもOKです。
特徴的なのは、事業領域を問わないという点です。当社との事業シナジーを求めてしまうと幅が狭まってしまうので、シード期のスタートアップであれば領域は不問で募集しています。
1期・2期合わせて19社に投資させていただいていますが、本当にいろんな領域のスタートアップが集まっていて、ヘルスケア、エンタメ、フード、モビリティ、流通……さまざまなフィールドで挑戦しようとしている方々です。
ーーーどういったプログラムなんでしょうか?
採択されたスタートアップには、2年間のインキュベーションプログラムを提供しています。アクセラレーターとしては2年間って結構長いと感じるかもしれませんが、本質は先ほどお話しした「環境を整えてあげたい」という思いにあります。2年間、私たちと一緒に過ごしましょう、と。
具体的には、オフィスの無償提供(例外あり)と、採択時に1,000万円の出資。それに加えて、成長ステージに合わせた学びの場を定期的に設けています。当社の社長やスタートアップ経営者、VCなどをゲストに呼んで、月1回は1on1や講和の時間も設けています。
オフィスの空間自体は壁もなく、みんなが机を並べて、隣のスタートアップとも相談し合えるようなオープンな環境です。年10社×2年で最大20社が入れる比較的広い空間なので、スタートアップ自身がイベントを開いたり、モノづくりのスタートアップであれば試作品を作ったり修理したりと、倉庫ならではの"ラボ"的な使い方ができるのが一つの特徴だと感じています。

天王洲という街自体がアートにあふれていて、水辺に囲まれている。日本でアートや水辺を身近に感じられるような空間は、なかなかないんじゃないかなと。寺田倉庫で開催しているアート関連のイベントにも触れていただきながら、街全体で発想力が高まるような環境を磨いていきたいと考えています。
私たちが大事にしているのは「時間の過ごし方」なんです。2年間という設定もそうですし、自分らしく成長しやすい環境を整えていきたい。そういう環境と相性がいいなと感じた方には、ぜひ応募していただきたいですね。
3期からは新しい選考の仕組みを導入しています。このプログラムに賛同いただいているVC5社に、選考プロセスから参加いただく形にしました。1期・2期は当社からの出資機会のみでしたが、3期生では最終選考会でVCの皆さんから評価だけでなく投資の検討もしていただくことになります。
スタートアップにとっては、当社の1,000万円に加えて、VCから評価が得られればさらに資金を得られるチャンスになる。1次選考、2次選考を進める中で、VCさんもそれぞれの社内で投資検討をしていただき、最終選考会にその結論を持ってきてもらうことを考えています。

魅力を感じる起業家はどのような人ですか?
一番のポイントは、その起業家が解決しようとしている課題に「ぐっとくるか」という点です。なぜその課題を見つけたのか、なぜそれを自分が解決しようとしているのか。自分が向き合う課題に対して本気で取り組んでいる起業家に魅力を感じます。
もう一つは、人に対する関心があるかどうか。私たちは単に投資するだけではなく、2年間一緒に二人三脚で歩んでいく関係です。お互いを尊敬し合えるような関係性を築けるかが大事になってくるので、課題への向き合い方と、仲間を大切にする意識があるか。この2点がポイントだと感じています。
実際、採択されたスタートアップ同士で、自分のことだけでなく周りを見て助け合う場面もよく見かけます。そういう関係性を築けるかどうかが、結局は一番重要なんじゃないかなと。
今後の展望について教えて下さい!
天王洲をクリエイターが集まる街にしていくというのが、大きなビジョンです。
スタートアップのインキュベーション事業が先行していますが、街全体を使って実験ができたり、表現ができたり、人と繋がれたり。日本にはまだない「スタートアップの街」を作っていきたいという夢があります。
まだ具体的な絵が描けているわけではないですが、天王洲をそういう街にしていくのは寺田倉庫の夢でもあるので、そこに向かって進んでいきたい。まだ立ち上げて3期目ですが、年10社ずつ仲間はどんどん増えていきますから、卒業した仲間がいつでも天王洲に戻ってこられたり、引き続きこの街で成長フェーズを進めてもらえるような環境を提供していきたいですね。
天王洲は国際的なアートシティとしても注目を集めていますが、私たちは、アーティストだけでなく起業家もクリエイターだと考えています。モノを作り出すという意味で起業家もクリエイターですから、「クリエイターが集まる街」にはアートやデザインだけでなく、スタートアップも当然含まれるべきだと。
また、インキュベーションプログラム以外にも、さまざまなステージのスタートアップの方々に天王洲に来ていただけるきっかけを作りたくて、入居しやすいシェアオフィスも計画中です。そこでまたネットワークが広がっていくのではないかと期待しています。
最後に、起業家へのメッセージをお願いします!
まず、起業家の皆さんを心から尊敬しています。誰もまだ考えなかったような課題、成し遂げなかったようなことに対して、解決に向かってチャレンジしている姿に敬意を表します。
シード期なので、壁にぶつかるシーンはたくさんあると思うんです。でも、壁にぶち当たったときに必ず背中を押してくれる存在がどこかにいるはずだから、仲間を大切にしてやっていってほしいですね。
その存在が私たちであれば、すごく嬉しいなと。Creation Camp TENNOZは今、第3期の募集中です。私たち自身も一緒に成長していきたいし、スタートアップの成長も支えていきたい。ぜひ応募いただけたら嬉しいです。
Creation Camp TENNOZは第3期を募集中です!申込はこちらよりお願いいたします!
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