
2025-01-21
インタビュー
覚悟と愛を持ってともに歩む、プロ経営者によるCVC
ロッテベンチャーズ・ジャパン 國分丈明さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はロッテベンチャーズ・ジャパンの國分丈明さんにお話を聞きました。
國分 丈明
新卒で総合化学メーカーへ入社。建設、エネルギー、エレクトロニクス業界にて国内外の 営業を経験後、シリコンバレーオフィスにて北米、欧州、イスラエル企業への投資を担当。 2020年CVC領域のエキスパート(上級高度専門職 )に就任後、グループ会社の CVC室を立ち上げ室長に就任。 2022年10月株式会社ロッテベンチャーズ・ジャパン代表取締役社長に就任。ケンブリッジ大学 経営大学院(MBA)修了。投資条件や投資実績がわかる!國分丈明さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)
まずは、國分さんについて教えてください!
ロッテベンチャーズ・ジャパンの國分です。1979年生まれで、就職氷河期の2002年に総合化学メーカーに入社しました。
最初の配属は火薬事業部で、5年ほど建築土木業界のお客様にあと施工アンカーという超ニッチな製品を売る仕事をしていました。その後、発電所や天然ガスの液化装置などに使われる爆発圧着クラッド鋼板というこれまたニッチな製品の海外営業を6〜7年ほど担当。その過程で「海外おもろいな!」と思い、会社の留学制度に手を挙げてケンブリッジ大学に行き、経営大学院(MBA)を修了しました。
國分さんが投資家になったきっかけは何ですか?
投資の仕事をし始めたのは、MBAから帰国してから数年経った後でした。
帰国後は当然、戦略部門に入ってM&Aとかバンバンやるんだろうと思っていたら、めちゃめちゃ泥臭い電子材料の営業部に配属になりました。1年間、国内の中小企業に電子材料を売る仕事で、英語なんて全く使わなくて(笑)
そんなとき、社内でシリコンバレーにあるCVC室の募集を見つけました。「カッティングエッジなテクノロジースタートアップにインベストメントしてイノベーションを起こしちゃうよ」みたいな(笑)こんな格好いいことやってる部署があるのか!と思って、CVCって何なのか全然わからなかったんですが応募したら受かったんです!
それまでずっとやっていた営業の仕事って、常に「交渉」だったんですよ。こっちは高く売りたい、向こうは安く買いたい。でも、ベンチャー投資は出資先と同じ方向を向いて走れる。スタートアップが成長すれば我々もキャピタルゲインをもらえる。こんな仕事があるとは!めちゃめちゃいい仕事だな!と思いました。
5年ほどアメリカやカナダ、イスラエル、ヨーロッパのスタートアップ企業に投資をさせてもらい、その後、グループ会社のCVCも立ち上げて、3年間で2,000万ドルほどの予算で責任者をやらせてもらいました。
そこに知人から「澤田さん*という人が投資会社の社長を探してる」という話が来て。1時間のオンライン面談で50分くらい澤田さんが喋りっぱなしで、僕は「はい」とか「國分です」としか言ってないんですけど(笑)、「いつから来れるの?」と言っていただいて、現在に至ります。
(*澤田 貴司:ロッテベンチャーズ・ジャパン取締役。ファーストリテイリング副社長、ファミリーマート社長などを歴任)
現在はどんなところに投資していて、投資先とはどんな関係ですか?
基本的には、お客様視点とマーケットインの考え方を持ったBtoCの会社を中心に投資しています。BtoB領域では人材関連のビジネスが多めですね。逆に投資が難しいのは、バイオベンチャーなど社内に判断できる人間がいない領域です。ロングテールのビジネスも評価が難しいので、狙って当てにいけるビジネスを好んで投資しています。
フェーズはプレAからシリーズAが中心で、チケットサイズは5,000万円から3億円くらい。リードもフォローもどっちもやりますし、追加投資もします。投資を決めるまでの期間は4〜8週間くらいですが、会社によっては半年ほどかけてじっくり話をすることもありますね。
弊社の特徴は、プロ経営者である澤田と玉塚が手掛けるCVCという点と、韓国ロッテグループという大きいアセットがある点です。その2つを最大限に活かすため「覚悟を持って投資先を支援する」をミッションにしていて、キャピタリストがしっかり投資先に入り込み、ディスカッションしながら経営支援をしていきます。
例えば、KPIを一緒に考えてその数字を一緒に追いかけたり、採用活動に関わったりしています。最近投資したSweetBio(韓国発ギリシャヨーグルトの会社)が日本に出店したときは、日本責任者の採用から関わらせてもらいました。また、他の企業では経営者のネットワークを使って、日本を代表する小売業や商社の役員などにトップ営業したりもしています。
また、CVCにしては珍しいかもしれませんが、戦略リターンよりも財務リターンを重視しています。
編集部補足:一般的に、CVCは親会社の事業とシナジーを生み出す「戦略リターン」を重視することが多いと言われています。例えば、スタートアップへの出資を通じて新しい技術や事業モデルを取り入れる、あるいは将来的な提携や買収を視野に入れるケースです。このアプローチは、親会社の競争力強化や中長期的な成長に寄与することを目的としています。
一方、「財務リターン」は、純粋に投資先の成長によって得られる利益や資本収益を追求するもので、独立系ベンチャーキャピタルに近い考え方です。つまり、スタートアップとの直接的なシナジーを重視せず、投資自体が収益を生むことを目的とします。
CVCって「戦略リターンなのか、財務リターンなのか」みたいな議論をずっとしてるんですよ。投資先が伸びたい方向にまっすぐ伸びるのを全力で支援できるように、という意図から、弊社は財務リターン重視で支援をしています。
CVCあるあると言われがちな「社内異動により担当者が短期間で変わる問題」に関しても、弊社はキャピタリストを外部から採用し(本社とローテーションしないことで)長く支援できる体制を作っています。
魅力を感じる起業家はどのような人ですか?
一言で言うと「商売人」ですね。事業をやる上で大事なのはトップラインを伸ばすことなので、トップラインを伸ばせる人はお金を払ってくれるお客様のことをめちゃめちゃ分析して、最高の体験をしてもらうことにこだわっているイメージがあります。
あとは素直で前向きで、フレキシビリティがある人。いろんな人の意見を聞いて、柔軟に咀嚼して反映できる人に魅力を感じます。
長く付き合っていくので、やっぱりキャッチボールができる人がいいなと思っています。でも、あくまでその会社は創業者・CEOの会社なので、僕らは伴走者としての立場は忘れないようにしています。
今後の展望をお聞かせください!
今ファンドは3年目ですが、ロッテホールディングスから預かっている75億円に対してしっかりリターンを出して返すのが一番のミッションです。そして、スタートアップエコシステムで認められる存在になりたいですね。
「認められる」というのは、第一想起をとることだと思っています。「Founders First Call」というスローガンを掲げようとしていたくらい、起業家が最初に想起して相談できる存在になりたい。このスローガンは澤田さんに「意味わからん」ってバッサリ切られて不採用になりましたが(笑)
とにかく目立つために今年から金髪にしたんですけど、頭皮が弱くて続けられなくて坊主にしちゃいました(笑)あとは皆が麻布台ヒルズに行く中で、弊社は一軒家オフィスを借りて「A-CHABUDAI HILLS(あ・ちゃぶだい・ひるず)」って名付けてみたり。

(写真:一軒家オフィスと、納涼で流しそうめんをした時の様子)
最後に、スタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
正直、僕らも試行錯誤の毎日です。ホームページを見ていただくと私のような中年が真顔で「愛を持ってともに歩む挑戦者」っていう、ちょっと恥ずかしいくらい重いスローガンを掲げていますが、本当に一緒に成長していきたいと思っています。
スタートアップ業界の常識と違うところや、不快に感じるコメントをしてしまうこともあるかもしれません。でも、そういうのもぜひ指摘していただいて、一緒に成長していければ幸いです。
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