
2025-03-28
インタビュー
これまでの知識や経験をアセットとしてデータ化し、一緒に事業を作っていく
Hyperion 南出昌弥さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はHyperion株式会社の南出昌弥さんにお話を聞きました。
南出昌弥
慶應義塾大学 商学部 卒業後、野村證券 投資銀行部門に入社。国内外の資金調達やIPO、M&Aを商品としたコーポレートファイナンス業務およびデューデリジェンス調査など、法人案件の開発から執行に従事。2020年3月にインキュベイトファンドへ参画。新規投資先の案件発掘、既存支援先のバリューアップ、ファンド組成業務などに従事。国内最大級のアクセラレータープログラムであるIncubateCamp15thを統括。支援先のトラックレコードとして、IPO1社/M&A2社。2024年10月、Hyperion株式会社 設立。投資条件や投資実績がわかる!南出昌弥さんの投資家プロフィールはこちら👇(クリックするとプロフィールを閲覧できます。)
まずは、南出さんについて教えてください!
Hyperion株式会社の南出です。
私の経歴としては自己紹介に記載の通りですが、元々金融業界に興味を持ったきっかけとして、高校時代に両親の転勤でアメリカに留学していた経験が結びついていると思っています。
アメリカにいた時に、周囲の人たちから日本の文化やどういった国なのかという質問をよく受けることがありました。会話の中で、有名なアニメやIPは知られていても、それ以外の産業についてはあまり認知されていないと感じることが多かったです。ソニーやトヨタ、NTT、三菱UFJ銀行が世界の時価総額ランキングで上位を占めていた時代もありましたが、その当時はGAFAを始めとするスタートアップが産業全体を牽引していたので、何となくもどかしさを感じていました。

大学卒業後は「日本企業の大きな挑戦や意思決定を支援できる仕事はないか」と考え、資本のレバレッジやファイナンスという軸を使って大企業を支援することで、より多くのチャレンジを生み出せるのではないかと思い、投資銀行業界に就職することを決めました。
南出さんが投資家になったきっかけは何ですか?
野村證券の投資銀行部にて、幾つかIPOのプロジェクトを担当することがあり、プロジェクトを通じてベンチャーキャピタル(以下、VC)と仕事をする機会があり興味を持ちました。また、大企業が定期的に行う資金調達の支援よりも、スタートアップの新規上場にかける想いに寄り添う方がやりがいを感じたのも要因として大きいと思います。
特に印象に残っているのは、担当していた1社が上場を延期した際の出来事です。社長を含めた経営陣やプロジェクトメンバー、関係各社と決起会を行ったのですが、「上場は絶対に諦めません!」という姿勢や「うちの技術を世の中に広げていくんだ」という熱意に胸を強く打たれました。
大義を成そうとしている会社を応援したいという想いが強くなり、そこからIPO直前のスタートアップではなく、創業期の企業に対して自分が何か大きく貢献できることがあるのではないかという仮説を持ち、シードステージに投資をしているVCに一番関心を持つようになりました。
インキュベイトファンドは「一緒に事業を作っていく」というスタイルで、GP(ジェネラル・パートナー)の方々は自分たちで事業を作ってきた経験があり、金融をバックグラウンドに持つ私にとって、事業に対するマインドセットを得られる場所だと感じました。また、独立を推奨しているという点も魅力的でした。独立することは、自分の名前で勝負ができるということです。VCは、投資先を選ぶと同時に選ばれる立場でもあるので、「なぜあなたが担当なのか」という問いに答えられるようになりたいと思いました。

現在はどんなところに投資していて、投資先とはどんな関係ですか?
既存産業にAI技術を活用して変革していくようなスタートアップに特化して投資しています。ステージは創業期/プレシードからシードまでを考えています。創立されたばかりの会社なので、不確実性やリスクも高いですが、むしろ私が関与することで成功確率を1%でも高める可能性があり、一緒に事業を成長させていける余地が多いと考えています。
関与の仕方としては、創業前の段階だと一緒にアイデア出しや事業仮説をディスカッションを通じて深めていくことが多いです。その流れから、私が共同創業者として関わることもあります。これには二つの理由があります。一つ目は、元々金融畑にいながら事業側に興味があったからです。会社が成長していくにつれて、ある程度のエコノミクスを前提としてグロースの方程式みたいなものが確立されてきますが、事業を創る段階においては感覚的な要素も大きく、その光景を間近で見ないと感じられないなと思ったからです。
二つ目は、インキュベイトファンドがまさに「一緒に事業を作っていく」というスタイルだったという点です。0から1を生み出して成長にコミットしていく経験をしてきたため、立ち上げのスピードや確度を高めていける価値に共同創業の良さを感じています。
「私が創業期に関与することで事業成長の可能性をどれだけ最大化することが出来るか」という感覚を大事にしています。

投資先との関わり方としては、事業計画の作成、メンバーの採用、営業支援など、支援先のニーズに応じて様々な業務をサポートします。特に創業期は人手が足らず、やることが膨大にあるのでグロースにおけるボトルネックとなりそうな所に関与する意識は持っています。共同創業している先だと、社内の体制作りやサービス開発におけるPdMに近しい動き(MVPの機能の選定や、要件定義の議論に参加)をする場合もあります。
全てのスタートアップに同じパッケージを提供するのではなく、「この会社はここが足りていないから、自分がこういうピースとなってハマる」というスタイルでサポートしています。専門家ほど詳しくはありませんが、VCとして様々な会社を見てきたので、プロダクト開発や営業、採用の知識として出資先の代表と建設的なディスカッションを出来るレベルには高めるべきだとも考えています。
魅力を感じる起業家はどのような人ですか?
お互いが信頼・尊敬出来る状態であり、私が関与することでの成長変数やコミュニケーションコストが低い状態にあるといった相性が大事だと思います。その上で、投資判断としては市場仮説やソリューションのアプローチ、チームのバランスなど総合的に考えます。
また、ストイックやハードワークだったりする人に魅力を感じることが多いです。創業期はどうしても代表取締役が究極のゼネラリストとして、売上を作ることや、仲間集めをすること、プロダクト開発の関与、細かい雑務などを担う必要があり、チームでリソースを補完し合うのも良いですが、いずれにしてもハードシングスを乗り越えるにはストイックな性格はマストだと思っています。
また、「こういうことができたら面白い」というビジョンを共有できて、それを実現する力がある人と一緒にやっていきたいと思います。投資検討前からの連絡の頻度や対応の速さ、ディスカッションを通じての盛り上がり方などから感じ取れることもあります。
シードステージでの投資判断は体系だったものがあまりなく、職人肌というかアート的な側面が強いと思います。でも、それは単なる感性というより、これまで培ってきた経験から生まれる直感だと思います。

今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
VCとして働いてみて、この業界自体はDXがそこまで進んでいないと感じました。スタートアップは多くのITツールやAIを使って効率良く事業を成長させながら会社としても変化していますが、VC業界は正直スタートアップのスピードや変化には追いついておらず、これから変化していくフェーズにあると考えます。
基本的には大型VCがどんどん成長して大きくなっていくという構造ですが、取り扱うデータ量が多く、携わる人数も多いため、統制が取りにくくデータドリブンではない傾向も併せて強くなっていきます。それに対し、私は1人という強みを活かしてテクノロジーの部分で尖っていきたいと思っています。
具体的には、これまで支援してきた企業の集合知をVCのアセットとしてデータ化し、支援先のスタートアップにどんどん還元していきたいです。
起業家として挑戦したいと思っている人に伝えたいのは、VCは税理士や弁護士のような、1時間相談したらいくらという有料サービスではないので、気軽に連絡して欲しいということです。1人で悩まず、一緒に考えていきましょう。
最後に、すでに起業している人へのメッセージになりますが、社長は1人で孤独なことが多く、創業したての会社では日々の仕事に追われがちです。ですが、定期的に「自分が作っている道はどっちに向かっているのか」を確認する必要があると考えています。
そういった話ができるチームメンバーがいればラッキーですが、もう少し第三者的な視点が欲しいという場合は、ぜひ私たちVCに相談してください。全力でサポートします。

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