
2024-07-23
インタビュー
上場後も成長を続ける企業を目指す、健全な野心を持つ起業家の力になりたい
グローブアドバイザーズベンチャーズ 秋山友紀さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はグローブアドバイザーズベンチャーズの秋山友紀さんにお話を聞きました。
秋山友紀
早稲田大学政治経済学部卒業後、2007年1月UBS証券 株式営業部に入社。2008年にヘッジファンドのSpeedwell/ Nezu Asiaへ転職。アナリスト・ファンドマネージャーとして、東京・シンガポール・香港オフィスでアジア株と日本株投資に携わる。2017年に東京に戻り、ミレニアムキャピタルで日本株ファンドマネージャーとして勤務。2019年、11年間にわたる上場株投資を卒業し、グローブアドバイザーズベンチャーズでスタートアップ投資を始め、現在に至る。22年にはBuySell Technologiesの社外取締役に就任し、資本市場との対話や株主目線の経営といった点で企業価値向上に取り組む。投資条件や投資実績がわかる!秋山友紀さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)
まずは、秋山さんについて教えてください!
グローブアドバイザーズベンチャーズの秋山です。
学生時代は国際的に活躍するジャーナリストになりたいと思い、メディアに強い早稲田の政治経済学部政治学科に進学しました。ただ、政治に強い思いを持つクラスメートと議論を交わすうちに、私はこの世界には向いていないのではと思うようになりました。その思いはアメリカに留学をし更に強まりました。
留学を終え帰国し進路に悩む中で、ふと外資金融の女性セミナーに参加したのですが、そこでお話した女性がみなさん素敵な方で、この世界で働きたいと思い、新卒ではUBS証券に入社しました。特に企業を分析し、今後の成長を期待する経営者や会社に投資をするという株式部に興味を持ち、当時、独自のリサーチ力に定評のあった営業部に配属されました。
ただ、当時の私は金融や会計や企業分析の知識があるわけでもなく、自信を持って営業をすることができませんでした。そのため、半年で営業部の中にある中小型株を分析するチームに移動させてもらいました。そこで企業訪問から企業分析の基礎を学ぶことになるのですが、サブプライムの煽りで1年も経たずチームが解散することとなり、社会人2年目にしてヘッジファンドに転職しました。
元々、証券会社の「投資家と市場を繋ぐ」仕事より、「じっくりとリサーチをし自分でリスクをとって投資をする」仕事の方が合っていると思っていたので、転職に迷いはありませんでした。ただ、まだ社会人2年目だったこともあり、周りの人にはだいぶ反対されました。
その時に唯一背中を押してくれたのが、UBSでインターンをしていた時のメンターであり、現在のグローブアドバイザーズベンチャーズの出資者であり、上場中小型株の投資における第一人者であり、暁翔キャピタルの創業者である山口さんでした。山口さんは私が初めて出会った投資家であり、当時から良きメンターとして沢山学ばせてもらっています。
それから11年間、上場株の投資に携わりました。まずは日本を含むアジア株のアナリストとして、その後は自分でポートフォリオを運用するファンドマネージャーとして、東京・シンガポール・香港のオフィスで働きました。日本人はもちろん、世界中の大変優秀な投資家とご一緒することになり、初めの数年はついていくことに必死で週末もなく働いていました。
ヘッジファンドに転職して3ヶ月後にリーマンショックが起こるなどバタバタでしたが、毎日必死にマーケットを追いかけた日々は、スタートアップ投資をする今も投資家としての基礎となっています。
2019年に、結婚を機に拠点を京都に移すことになり、11年間続けた上場株を卒業しました。そして、経営者や企業にもっと近い立場で長期的な投資をしたいと思っていたところに前述の山口さんに声をかけていただき、グローブアドバイザーズベンチャーズでスタートアップへの投資に携わることになりました。

(写真:夫の家業が着物メーカーなので、普段から着物を着ることも多く、息子のお宮参りには産着を誂えました)
秋山さんが投資家になったきっかけは何ですか?
上場株の投資家からスタートアップの投資家になったきっかけは、経営者や人とより近い立場で投資をしたいと思ったのと、長期的な投資をしたいと思ったからです。
上場企業の投資家は、インサイダー情報に触れることはできませんし、決算資料などの公開情報をもとに投資をすることになります。企業への取材は定期的に行いますが、事業会社はフェアネスの観点から決められたこと以外は投資家に話すことはできません。それに対し、スタートアップへの投資は、起業家と同じ船に乗り、事業の成功を共に目指す部分が強く、経営者との距離が近い点に魅力を感じていました。
また、ヘッジファンド時代は、毎月PLをプラスにすることが求められ、PLのボラティリティを下げるために、一部、短期の売買や調整が必要でした。単純に良い事業や経営者に、腰を据えて投資をしたいという思いもあり、VCへのキャリアチェンジを決めました。
現在はどんなところに投資していて、投資先とはどんな関係ですか?
現在、GAVでは40社以上のスタートアップに投資しており、そのうち私は16社の素敵な会社さんを担当しています。
投資フェーズは、プレシリーズAとシリーズAが多いですが、シリーズBやシリーズC、プレIPOも幅広く投資しています。投資金額は案件によりますが、初めての投資ですと1,000万円から1億円程度のフォロー投資をし、その後のラウンドで追加投資をすることも多いです。
もともと上場株の投資を行っていたこともあり、アイデアベースでプロダクトやサービスがない状況よりも、半年でも良いのでプロダクト・サービスリリース後のトラクションがあった方が投資検討はしやすいです。ただ、プロダクト・サービスローンチ前でも、次回以降のラウンドを見据えてお話を伺うことは多いです。
投資領域は基本的に全領域ですが、バイオなど私たちの理解がなかなか及ばない分野へ投資することは少ないです。
また、VCの中にはAIや宇宙といった新しい領域に魅力を感じたり、ソフトウェアでなければ投資をしないという方もいらっしゃると思います。それに対し私たちは、既存の事業やバランスシートを使う事業であっても、新しい仕組みを作ることで関係する人の満足度を上げたり、成長の蓋然性が高く、長期的に高い収益性を見込める事業には魅力を感じます。
投資先でいうと、シェアサロンの運営を通して美容師さんのQOL向上を目指すサロウィンや、新しい別荘や暮らしのあり方に挑戦するNOT A HOTELが、こちらに該当します。
投資先との関わり方はハンズイフです。基本的には、良い経営者・良いチーム・良いビジネスだと思って投資を決めているので、過剰に投資先の時間をとって事業の邪魔をすることだけはしたくないと思っています。
最低、半年に一度は事業進捗をお聞きしたいなとは思いますが、株主報告会の頻度などもスタートアップに任せています。ただ、私たちにお声がけいただき、力になれることがあれば全力で協力する、というスタンスをとっています。
特にニーズが多いのは、証券会社とのやりとりが始まり上場を意識する頃に、エクイティストーリーの作り方や資本市場にどのような見せ方をすべきか・上場競業企業がどのように市場に評価されているか、資本市場で評価されるために改善した方が良い点などです。必要に応じて、現役の機関投資家である出資者を含めたミーティングをします。
魅力を感じる起業家はどのような人ですか?
3つあります。1つ目は素直な人。2つ目はデータドリブン思考(経営)ができる人。3つ目は健全な野心のある人です。
素直な人というのは、「素直に新しいことを吸収して成長でき、信頼できる人」という意味です。長期的なお付き合いになる起業家には不可欠な要素かなと思います。
データドリブン思考ができる人というのは、話していて納得感があります。スタートアップの経営では予想外のトラブルがほぼ必ず起こりますが、その時も納得のできる対応・説明をしていただける方だと、長期的な成長を期待し応援しやすくなります。これは、起業家だけでなく一緒に働く全ての人に対しても同じことが言えます。
健全な野心のある人というのは、事業のスケール感が大きい人や大きな夢を持つ人という意味です。私は優良な中小企業でなく、大きな成長を遂げるスタートアップに投資をしたいと思っているので、見ている世界がダイナミックな人には非常に魅力を感じますね。
秋山さんの今後の展望を教えてください!
まずはVCとして一定の結果を出したいです。
プレシリーズAやシリーズAに多く投資をしているとエグジットまでに5年以上はかかるので、19年末からキャピタリストを始めた私の担当企業の多くは、26年27年以降に上場を予定しています。上場準備に入る今のタイミングからは私が一番お役に立てるステージなので、まずはしっかりと担当企業の上場までのサポートをしたいと思っています。
長期的には、投資を通してより良い社会の実現に貢献できたらと思っています。中でも未上場スタートアップへの投資は何らかの形でずっと続けていくと思っていて、世の中をより良くする新しい事業やサービスを作り上げる起業家のサポートという形で役に立ちたいと思っています。
また、日本では上場企業でも資本効率が悪く、市場で高い評価を得られずにいる企業も多く存在するため、そのような企業を少しでも減らすことに携われたらと思っています。今のようにキャピタリストとして貢献することもできるでしょうし、また上場株への投資の仕事に戻るという可能性もなくはないかもしれません。現在は、全くその予定はありませんが。

(お写真:投資先のNOT A HOTEL AOSHIMAに家族で滞在した際に、お子様と)
最後に、スタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
スタートアップ業界にいると、500-1,000億円で上場したら大成功!という印象を持つと思います。確かに、とても素晴らしいのですが、上場投資家にとって時価総額1,000億円の企業はそれほど大企業ではありません。流動性にもよりますが、1,000億円では投資対象にならない投資家も多く存在します。
実際、私が上場株投資をしていたときは、時価総額1,500-2,000億円以上の企業のみを投資対象としていました。ですので、上場後も成長を続けることが大切ですが、IPO企業の中にはすごく良い事業なのに小粒上場をしたが故に高い評価がつかなかったり、市場との適切な対話をせず市場から見向きもされず成長が止まってしまう企業が存在し、残念に感じたことが何度かあります。
機関投資家の投資対象となり、資本市場を上手に使うことで上場後も長期的な成長を続けるには、上場市場への準備と対策が必要です。そのお力になれればと思っているので、上場後も成長を続ける企業を目指している経営者の方は、ぜひお話しさせていただけると嬉しいです。
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