「心のゆとりを忘れず、人生を使い切る。」 エンジェル投資家 福田淳さん

2024-03-04

  • インタビュー

心のゆとりを忘れず、人生を使い切る。

エンジェル投資家 福田淳さん

Share

Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家の福田淳さんにお話を聞きました。

福田淳
株式会社スピーディ 代表取締役社⻑
STARTO ENTERTAINMENT, Inc. CEO
株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント バイスプレジデントを経て、2007年 株式会社ソニー・デジタルエンタテインメントを起業。代表取締役社⻑。主にIT分野のコンテンツのブランディングやIP(知的財産)管理の事業を行う。タレントエージェント事業、米国ロサンゼルスでのアートギャラリーを経営、カリフォルニア全域と沖縄におけるリゾート施設展開、無農薬農場開発、出版事業でのM&Aと出資、スタートアップ投資など、多岐にわたる。

投資条件や投資実績がわかる!福田淳さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)

まずは、福田さんについて教えてください!

株式会社スピーディ代表の福田です。

元々は映画監督になりたかったので日本大学芸術学部に通い、卒業後は東北新社という総合映像プロダクションに入社しました。1998年にソニー・ピクチャーズエンタテインメントに転職し、アニマックスやAXNの立ち上げに関わっていました。

ソニーの社内起業制度を利用して2007年にソニー・デジタルエンタテインメント・サービスを立ち上げたのが40歳の時でした。ソニーからお金を出してもらっての起業なので、ゼロから始めるスタートアップの方とはまた違う形ですよね。

その後、52歳の時に株式会社スピーディを立ち上げ、本格的に独立したので、起業家としてはかなりスタートが遅いタイプだと思っています。

今58歳なので、起業家人生としては6年、社内起業も含めると18年になります。

また、アートも好きで、米国ロサンゼルスでアートギャラリーを経営したり、横浜美術大学の客員教授、金沢工業大学コンテンツ&テクノロジー融合研究所の客員教授をやらせてもらったりしています。

福田さんがエンジェル投資を始めたきっかけは何ですか?

独立前の2017年、知り合いが立ち上げたInstagramの韓国ファッション系スタートアップにたまたま出資したのが最初です。お付き合いで、「助けて」って言われて。

僕ね、人をすぐ信用しちゃうんですよ。もちろん、自分の資金や責任の範囲内でできることに限りますが、あまり疑ったり勘ぐったりしません。

その後も起業家さんに会って「面白いな!」と感じたり、紹介してくれた人が真剣だったりする時には割と気軽な気持ちで出資していました。

エンジェル投資ってフェーズ的に出しても1,000万くらいなので、「面白いな」と思わされたら出すしかないでしょ!と思っています。

現在はどのような企業(または人)に投資をしていますか?また、投資先とはどのような関わり方をしていますか?

領域は全く決めていないです。今の投資先を見ても東京かあさんのような非IT企業から、データ建築の企業まで本当に様々です。投資は起業家が面白いかどうかで決めてきました。

火事の火元やその原因ではなく、「消防士が火に立ち向かう理由」に興味があるというイメージでしょうか。極端に思えるかもしれませんが、本当に人だけを見ています。事業計画や資本計画をじっくり見ることはしませんし、プレゼン資料もほとんど見ません。

僕がこうなったのは、30代の頃にソニー・ピクチャーズでM&Aの仕事をしていた影響が大きいです。毎日毎日、企業のバリュエーションやディスカウントキャッシュフローのベータ値などを散々見ていましたが、経験を積んで「数字は当てにならない」という体感を得ました(笑)

3カ年計画や5カ年計画を考えるのが鉄板的なところはありますが、まぁその通りにならないですよ。3年前に立てた計画通りの今になっていること、あります?1年先だって完璧に予測するのは不可能に近いと思っています。

自分自身のことを振り返ってもそうでしょう?1年前に、今の自分を想像できました?

逆に100日先のことを考えるのは好きですね。リアリティを持って算段がたてられますから、かなり真剣に考えます。

もちろん中には不動産やアート投資のように自分の専門性をもって計画的にリターンを求めるものもありますが、スタートアップなんてほとんどが失敗に終わるんですから、要は賭けじゃないですか。リターンなんか求めにいかないですね。やってる人が面白ければ出す。それだけです。

投資先との関わり方ですが、うまくいってる話はしなくていいから、困ったことやうまくいかないことは相談してと伝えています。ルールもなく投資活動をする中で見えてきた自分の役割は、人を紹介できたり、これまでの事業経験を知識として提供できることかなと思っています。

ただ、「この人紹介してください」はダサいな〜と思っちゃいますね。本当にその人のパワーを使わないとできないの?まず自分で頑張ってみるとしたら?と壁打ちが始まります。大抵「ちょっとお願いするだけのつもりだったのに、面倒臭いことになったなぁ」という顔をされますね(笑)

逆に「こことここ繋げたら良さそう」と感じたら自分から紹介を提案することはありますよ。

魅力を感じる起業家はどのような人ですか?

野生的で豪胆で素直で、個性がそのまま見える人です。

長く社長業をしていたので数えきれない回数の面接をこなした結果、肩書きや経歴や実績なんてどうでもいいと思うようになりました。「最近何か面白いことありました?」とかって聞いたりします。小学生の頃のように、思ったこと感じたことを素直に聞かせてほしいんです。

人間、大人になる過程でいろんな鎧を身につけてしまうものですが、社会的な鎧ほどつまらないものはないですね。僕にとっては、3カ年計画もパワポ資料も、名刺交換するだけの会も、お互いよく知らないのにすぐにメッセンジャーで繋がろうとするのも鎧の証です。非常につまらないですね。

鎧の芯にある、本来の自分自身に従順に生きている人は大変魅力的です。

同じ理屈で、捻くれていたり、耳障りの良いことを言うだけの人は僕は苦手ですね。「俺は世界を変えるんだ!」みたいな。もちろん立派なんですけども、僕は立派な人よりも人間の基本的な欲求に対してストレートな人の方が好きです。

僕は「横隔膜の力」と呼んだりしますが、大きな声で喋り、よく食べ、嘘をつかず、日常に興奮して、人生を謳歌している人。それでいて知的で、ユーモラスだと最高です。

何か失敗した時に、申し訳なさそうな顔をせずに淡々と対処していく人もいいですね。商売っていろんな苦難があるので、起きてしまったことにいつまでもクヨクヨしててもしょうがないじゃないですか。じゃあこの手を打って、次はこの手を、とどんどん乗り越えていかないといけない。僕もそうですが、落ち込んでもせいぜい5分です。リーダーはごめん顔してる場合じゃないんですよ。

あとは、これまで数々の起業家さんを見ていて思うのは、ピボットを何度も繰り返す人は成功しやすいですよね。サバイバル能力と言いますか、事業の形なんていくら変わったっていいので、しぶとく執念深く進み続ける姿には胸を打たれます。

今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!

その人なりの個性が出ている面白い人に会っていきたいですね。そんな面白い人が「自分はどうしたいんだろう?」と悩み、苦しんで頭を打つような時に相談できる存在でありたいです。

あとは、自分が50歳を過ぎてから起業したので、シニアの起業を応援するのもいいなと思っています。社会人として色々経験した後に、脱サラして起業しますって人もどんどんマーケットに加わっていって欲しいです。ただし、セミリタイア的な経歴の延長のようなこじんまりした事業でなく、過去のことは一旦全部忘れて「自分はこれがやりたいんだ!」と叫んでくれた場合に限ります(笑)

起業家の方へのメッセージとしては、もうとりあえず「やってみなはれ」ですね。やったらやっただけ頭を打ちますが、たくさん頭打って、たくさん寄り道してください。そうしているうちに知見が溜まり、成功確率も上がっていきます。

寄り道って、心のゆとりがないとできませんよね。お正月に初詣に行くのも、節分に豆まきをするのも、全部心のゆとりがある証拠です。合理的に考えたら初詣なんか寒い中風邪をひくリスクを冒すだけの行為ですし、「豆を巻いて鬼が去るって何ですか?鬼なんているんですか?」って話じゃないですか。

でも、心のゆとりがある人が勝つんです。スタートアップは、自分で思いつめてもうまくいかないことだらけなので。心にゆとりが持てない時は、ぜひしっかり休んでください。パワポを捨てて、温泉にでも行ってください。

最後に、僕は仕事がどれだけ忙しくてもエンジェル投資をお休みすることはないです。人生は使い切るべきだと思っているので。

この間、日経新聞で平均寿命の83歳以上で亡くなった人のピックアップ調査の結果が出ていましたが、7割以上資産を残して亡くなるんですって。何歳まで生きるかわからないから、余力を残して余力を残して、家族にも残して、と考えた結果なんでしょうね。

でも、僕はプラマイゼロで死にたい。お金も知識も経験も使えるものは全て使い切りたいし、どうせ使うなら面白いことに使いたい。だからエンジェル投資をしています。

起業家の皆さんも、ぜひ人生を使い切ってください。そして、僕に興味を持った方はどうかパワポ資料を持たずにいらしてください。

Startup Nextを運営するスマートラウンドでは、スタートアップが無料で使えるデータ共有プラットフォーム「smartround」を提供しています。株主総会や資本政策など、少しでも業務を効率化したい方は無料登録の上、ご利用ください。

またその他にも、スタートアップ向けのお役立ち資料・テンプレートをご用意しています。ダウンロードはこちらから

Share