「投資社数100件超!サラリーマンエンジェル投資家の主成分は、知的好奇心と親心」エンジェル投資家 坂本達夫さん

2025-09-11

  • インタビュー

投資社数100件超!サラリーマンエンジェル投資家の主成分は、知的好奇心と親心

エンジェル投資家 坂本達夫さん

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Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家の坂本達夫さんにお話を聞きました。

坂本達夫(さかもと・たつお)
東京大学経済学部卒業。楽天、Googleを経て、外資系スタートアップの日本進出という修羅の道へ。AppLovin(アメリカ、2021年にNASDAQへIPO)、Smartly.io(フィンランド)、Moloco(アメリカ)の日本上陸・拡大を手がける。疲れちゃったので2024年にオランダへ移住し、現在はコミスマ株式会社にて海外事業の責任者として主に欧米を飛び回っている。

投資条件や投資実績がわかる!坂本達夫さんの投資家プロフィールはこちら👇(クリックするとプロフィールを閲覧できます。)

簡単に自己紹介をお願いします!

現在、漫画・アニメのIP事業を展開するコミスマ株式会社で海外事業を担当しています。これまで楽天、Google、AppLovinなど英語が公用語の企業を渡り歩き、現在は6社目になります。同時に、約100社のスタートアップに投資も行っているサラリーマンエンジェル投資家でもあります。

これまでのキャリアを教えてください!

元々楽天に入社した時点で、いずれはグローバルと関わる仕事がしたいという思いがありました。サッカー選手の中田英寿さんをベンチマークにしていたので、彼がベルマーレ平塚で経験を積んでワールドカップで目立ってセリエAに行ったような、そんなキャリアを目指していたんです。

実はGoogleからも新卒で内定をもらっていたのですが、先輩から「Googleなんて天才しかおらへんねんから、お前そんなとこ行って目立つほど頭良くないやろう。楽天やったらお前ぐらいでも “頭ええキャラ” として目立てるで」的なことを言われました。中田英寿さんの、12チーム中11チームからオファーを受けた中で「中心選手になれる」という理由であえて当時強豪とは言えなかったベルマーレを選んだエピソードを思い出し、僕も楽天を選択しました(笑)

楽天では、入社した年にたまたまコーポレート職への採用配属が初めて始まって、経営企画みたいな部署に配属されました。M&Aのデューデリジェンスや会社全体の予算作成など、1年目からやらされ...やらせていただいて、本当に訳が分からず先輩の言われるままにExcelを叩いていました。中途入社でバリバリな猛者しかいない中、最初に出た会議で「粗利って何ですか?」と聞いて、やばい空気になったのを今でも覚えてます!

その後、海外事業への配属が遠そうだと感じたタイミングで、たまたまGoogleから声がかかり転職。Googleの次に転職したAppLovinでは、日本進出1号社員として働くことになりました。

AppLovinでの経験はすごくうまくいったのですが、1回やっただけだと「たまたま当たった」のか「自分の力」なのか分からないなと。自分の貢献度は何パーセントぐらいなのか、たまたますごくいい会社だっただけで自分じゃなくても成功させられたのか、といった疑問を払拭できませんでした。

そこで再現性を確認したくて、2社目の日本進出プロジェクト(Smartly.io)でも同様の役割にチャレンジしました。案の定、めちゃくちゃ苦労したので、やっぱりまだまだ実力がなかったことがよく分かりました。3社目のMolocoでは初めてマネジメントを経験して、これまた異常に大変で...とはいえ最終的には数字も伸ばせましたし、良い機会を与えてもらえて感謝しています。

現在のコミスマ株式会社に入ったきっかけは、ご縁とタイミングですね。家族でヨーロッパに移住することをSNSに投稿したところ、元々10年来の知り合いだった社長や役員から「これから海外展開を頑張らなきゃいけないんだけど、海外事業の経験者がいないから来てくれない?」と声をかけてもらい、参画することになりました。

これまでは基本的にどの会社も3年サイクルで転職しています。1年目は訳が分からず試行錯誤、2年目で何となく調子が良くなって、3年目になると2年目の繰り返しで仕事ができるようになってくる。すると、変な話、僕自身がちょっと飽きてきてしまうところがあるんです。外資の日本法人は基本1事業・1プロダクトで、日本国内での異動があまりないことが多いので、3年サイクルで次の会社に行くパターンが多くなっていますね。

ただ、今いるコンテンツ業界は、作品が生まれてから大きく実を結ぶまでの時間軸が長く、領域もマンガ・アニメからゲーム、実写、グッズなど多岐にわたり、自分の担当地域としても世界中を見ないといけないんですよね。2〜3年だと味わえ尽くせなさそうなので、今時点ではドップリ長くお世話になるつもりでいます。

投資家になったきっかけは?

エンジェル投資家になろう、と自分から思ったことは全くありませんでした。当時は今みたいにエンジェル投資がメディアに取り上げられることもなかったし、SNSで発信しているエンジェル投資家もいませんでした。

楽天とかGoogleで働いていると、同期や同僚が時々起業するんですよ。あるとき「起業するからお金貸してよ」と言われて、「貸すってちょっとアレだから出資にしようか」「わかった、YOU株主ね」みたいな感じで始まったのが初体験です。それを何回かやっていたら、中に次の調達ラウンドに進むところが出てきて、既存投資家の一覧に僕の名前が出てくるようになり、だんだん界隈から「エンジェル投資してる人」という認識をされるようになって。そんなこんなで、紹介でスタートアップの人と会う機会がちょっとずつ増えていきました。

最初の頃は本当に何も知識がなかったので、簿価みたいな概念も後付けで学びました。サラリーマンをやっていると P/Lは気にすることがあっても B/Sを見ることってないじゃないですか。M&Aやってた身としてはお恥ずかしい話ですが(笑)

(写真:エンジェル投資家3人で投資先のスタートアップを集めて開催したBBQ大会)

どのような企業に投資していますか?

これまで100社ほど投資していますが、領域は全く絞っていません。領域よりも、起業家自身を見ています。

僕が好きなタイプの起業家は、1〜3ヶ月おきに会うたびに、事業の解像度が上がって、やってることが変わっている人です。おそらく頭の回転の速さと、手を動かすスピードの両方がめちゃくちゃ速いタイプなんだと思います。

まず僕は、自分のやっている仕事以外の全ての分野において素人なので、起業家の方が僕よりその領域について詳しいのは当然ですよね。それでいろいろ深掘りしていった時に、表面だけ見てたら絶対気づかないような、めっちゃディープダイブしてる人だけが気づく業界のバグとか構造上の欠陥など「ここを攻めればあの巨人が倒せるんですよ」みたいな洞察を聞くと、「うわー!そうなん!?」と興味が湧きます。

ただ、全てが思い通りに進むことってやっぱりなくて、ある程度仮説を立てながらやっているので「この仮説が違いました」みたいなことは当然起こります。手数がめちゃくちゃ多い、1週間で1個じゃなくて5個10個仮説検証している人だと、検証すべき課題がどんどん変わり、解像度がどんどん上がり、成功確度が高まっていくので、見ていて面白いんです。

投資先とはどんなふうに関わっていますか?

『プレイ動画を見ている感覚』と『子育てしている感覚』のマッシュアップに近いです。本当に実家の両親の気持ちというか、「頑張ってるな〜あの子」みたいな感じ。たまに連絡をくれると嬉しいし、連絡がこなくても多分頑張ってるんだろうな〜と思っています。100社も投資していると当然、連絡が取れなくなっちゃう人もいます。100人いたら、中には家出しちゃう子もいるんじゃないですか(笑)

事業とともに創業者も成長していくので、次第に、自分よりも全然知識もあって、経営者としても一皮むけて「もう俺を越えていったな」みたいな人も出てきて、もう、巣立つヒナ鳥を見送る親心ですよね。

投資先のスタートアップって、特に社長が若いと、初めはなかなか人脈がないことが多いです。営業先や投資家などを紹介してあげると、めちゃくちゃ感謝されるわけです。それで気持ちいいな、みたいな感覚もあります。

僕のスタンスとしては、サラリーマンの僕なんかよりも、リスクを取ってチャレンジしている起業家の方が偉いし、僕の時間よりも起業家の時間の方が貴重だと思っています。

【番外編】ここで、坂本さんが出資したスタートアップ起業家に聞いたエピソードをご紹介!

🎤株式会社TR-55 広岡 一実(人材や新規事業の開発支援、コラボレーションツールの開発)
「エンジェル投資したいけどキャッシュが無いと言うので、お金を自分が個人で貸して投資してもらい、毎月返済してもらいましたw」

🎤株式会社レンティオ 三輪 謙二朗(家電とかのレンタルとかサブスク)
「楽天新卒のカード獲得研修で1位になってました。アンリさん紹介のキューピット(あなたがいなけりゃレンティオなかったかも!)投資先が上手くいってないときの対応とかとても優しいと思う。あと投資先にお金貸すとか偉いと思う。VCじゃできない。←どっちも弊社じゃないからね」
(※坂本注:レンティオ社長は新卒同期です)

🎤株式会社fondi 野原 樹斗(バーチャル英会話サービスfondi)
「本人からの出資額がfixする前に、エンジェル投資家を5名も紹介してくれた。このムーブはスタートアップにとってめちゃくちゃありがたい動きで、メディアで知られて欲しい。でも知られたら達夫さんに死ぬほど案件来そう」

🎤株式会社Easpe 平塚 智博
「初めて品川駅のスタバでお会いしたとき、コンビニ袋にヤンマガ(たぶん)を携えてた。漫画が好きとの話で、持っていたのを含め様々欠かさず読んでると。そんなに沢山追いかけてるのに、電子じゃないんだなあ、と思った思い出」
(※坂本注:海外移住してからはさすがに電子です。ヤンマガ含め週7冊購読中)

🎤株式会社AccordX 安井 一男(キャンセル料のデジタル請求SaaS「請求できるくん」)
「社名変更手続きで承認を得る際に、自身が信仰する宗教についてのやり取りが発生したが、ワンラリーで終わって承認された」
(※坂本注:社名はカッチョよくすべきか、ダサくても分かりやすくすべきか、という宗教論争です)

🎤株式会社NewNet 山内 奏人(ブックマークAI、ウェアラブルAIカメラ)
「1社目を辞めるかもしれない相談を利害関係抜きに乗ってくれた(エンジェルやVCは引き止めがち)。2社目の事業を特に説明してないのに投資してくれた(エンジェルやVCは普通はいろいろ聞くし、検討する)。あと、プロポーズの相談にも乗ってくれた。そんなエンジェルはいないです(笑)本当に本当のエンジェルじゃん!と思ったエピソードです。」

🎤M&A Lead株式会社 坂本 慧(M&AのセルサイドアドバイザーおよびM&Aアドバイザー向けサービス開発)
「(ありがたいけど)書面決議や委任状の返信が早すぎる」

🎤株式会社bgrass 咸 多栄 a.k.a. だむは(女性IT人材向けキャリア支援)
「資金調達のコメントを頼んだら予想以上に遊び心満載すぎて、私がひよってしまったのでコメントを少し真面目な方向性に修正してもらいました(笑)株主グループで、いじりづらい株主に対して果敢にいじって、グループを盛り上げてくれました!!達夫さんにしかできない絡み方でした!」
(※坂本注:いじりづらい株主なんて...いなかったよ?)

🎤株式会社FUNDiT 廣瀬 寛(IT事業のM&Aとロールアップ)
「まだしっかりとした事業実態がないタイミングにもかかわらず株主に参画いただけました。特にしっかりとしたピッチも当社からしなかった記憶ですが、二つ返事でご出資をいただきました。出資後の顧客紹介、人材紹介には助けられました。まさにエンジェルとはこのことです。」

🎤Tooon株式会社 杉山 裕磨(オールインワン業務管理ツール「Tooon」)
「あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ!投資面談の後にピボットを決意し、事業がない状態なので投資検討の取り下げ依頼を行おうとしたのに何故か投資していただいていた...な…何を言ってるのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった… 頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ…もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…」

🎤株式会社Officefaction 樋口 徹(AI活用での動画制作によるマーケティング支援)
「ご出資いただいた理由を問うたところ『家族構成が似ていたから。あと、僕も猫飼っているし』というコメントをいただいて、頭が混乱しました。」

🎤株式会社tacoms 宮本 晴太(飲食店の店外注文を支える「Camelシリーズ」)
「英語のビジネスミーティングで、英語に自信なかったけど通訳は高いので達夫さんにお願いしたらあっさりOKしてくれて、便利だな〜と思った(ありがとうございました)」

🎤Cloudbase株式会社 岩佐 晃也(クラウドのセキュリティ)
「食事会で当時SmartHRの宮田さんと初めてご一緒できて、宮田さんにドキドキしながら資金調達ピッチをした。そしたら、たつおさんからの出資が決まった。メッセンジャグループで、コーポレートのあきさんからの連絡にボケていただくも、あきさんからは業務的な冷静な返答しか返ってこないのも可愛いところ。たつおさん、今までありがとうございます!これからも、よろしくお願いします!!!」

🎤株式会社カケダス 渋川 駿伍
「社名の雰囲気が似ているということで、カソークの社長とカケダスの社長(両者共に坂本さん投資先)が集まったランチ会。オフィスに詰めっぱなしで余裕が無かった頃だったから、外に出る機会をもらえて気分転換になりました。さすがに社名の雰囲気が似てるだけで集まったのはこじつけすぎだと思いましたが、どんな理由でも外に出て交流するだけで救われるんだなぁと思ったと同時に、事業ドメインが近くて良いディスカッションができました。今では、無事に両社ともM&AでEXITしました。ありがとうございます!」

🎤株式会社エアールームテクノロジーズ 大薮 雅徳(家具・家電サブスク「airRoom」)
「たこ焼きパーティーで、たこ焼きを食べてエンジェル出資が決まったので、たこ焼きってすごいです。まるでChatGPTかのように、何時に何を相談/報告しても、即レスで一旦全て肯定した上で具体的な対策をアドバイスいただけるので、ChatGPTが生まれる前からChatGPTのような存在でした。株主ではあるものの、株主に相談/報告する前に、相談したい方です。どのエンジェル投資家やVCを含む株主よりも変な緊張感もなく素で開示ができる方である上、達夫さん側も色んなことを包み隠さず開示いただけるため、それゆえ他の株主からその姿勢に対して反感をくらっているシーンをちょこちょこ散見。なだめるお仕事がありました(笑)」

🎤Total Animal Medi株式会社 ハミルトン 世菜(犬の健康寿命を伸ばすサプリ)
「まじで一番助けてくれます。レスが早いことに定評があると思いますが、本当に会社がやばい時に早く動いてくださるのは神なんです。また、このような善行を積まれていらっしゃるおかげで、坂本さんは人望があついです。坂本さんの持つコミュニティ(人脈)によって、スタートアップが解決できない問題はないと言っても過言ではない。例えば、昨年の今頃弊社は黒字倒産しそうでしたが、坂本さんにヘルプを送ったところ、たくさんの金融機関のつながりを持つ知人や、金融サービスをやられてる会社を紹介してくださり、お陰様で窮地を脱しました。あのときは本当にありがとうございました!あと、スタートアップ酒場のクリエイティブでも、めちゃくちゃCVしました!!」
(※坂本注:この動画 https://www.youtube.com/watch?v=qAWw938tTxo の切り抜きを広告クリエイティブに使ったら、インスタ広告の効果が高かったらしいです)

🎤株式会社douzo 上田 達(日本のモノづくりをグローバルサービス化)
「エンジェルというか、もはやゴッド。たっつぉさんの紹介で新規投資家、取締役などバンバン決まってて、なんかもう怖い。キャッシュが尽きそうなときにすぐ貸付してくれてほんと助かった。冗談じゃなくたっつぉさんいなかったら潰れてた気がする。あとトリキ奢ってくれる」

🎤株式会社Arii 新井 貴雄(エンタメ業界の総合商社)
「くっそ忙しいはずなのに絶対チャット丁寧に返してくれる。あとエンジェル投資家ネットワークの他の方々からの信頼度がすごくて、多分弊社だけでも坂本さんに紹介してもらった投資家さんだけで累計5,000万円ぐらい資金調達してると思います。笑」

コメントをくださった起業家の皆様、ありがとうございました!続いて、坂本さんが魅力を感じる起業家の特徴は?

まず大前提として、知的好奇心を刺激してくれるタイプというのがあります。それプラス、エンジェル投資家として投資してよかったなと思えるのは、ちょこちょこ連絡をくれたり、たまに相談をくれたり、大したことなくてもちょっとメッセージをくれるような、かわいらしいタイプ。用はないんだけど、時々実家に連絡をくれる子どもみたいな感じですね(笑)

それがあると充実感があるし、実務的にもやっぱりそういうタイプの方がうまくいく確率が高いような気がします。僕にだけじゃなく、他の株主など大事なステークホルダーとかにもそういうふうにちょくちょく連絡を取ったりとか、困った時に「今ちょっとこれ困ってるんですよね」みたいなことを言える人って、”頭の中のリスト” の一番上に常に上がってきますよね。

別にエンジェル投資を100社してなくても、皆さん日々やらなきゃいけないことがめちゃくちゃたくさんある中で、相手の頭の優先順位の上位に自分を置き続けるための行動って、そういうこまめな連絡だと思います。

僕もそれもあって結構SNSを意図的にやっています。「最近よく見るなあ」とか「こんなことやってるんだね」と思ってもらえると、何かチャンスがあるときに紹介してもらえる機会が増えるかなと考えています。中田英寿さんですら、ちょっとでも目立つためにワールドカップのとき髪の毛を赤く染めてましたからね。脳みそのシェアの取り合いみたいな感じです。

あとは根本的にいいやつとか、人柄が良いとか誠実とか、そういうのも。それがあると「お前がやってダメだったら仕方ないよね」「頑張ってね応援するよ」みたいになりますよね。

ただ、1〜2回の面談でその人の本性を見抜くことは僕は無理だと思っています。マッチングアプリだろうが、就職の面談だろうが、そういう面談でその人の本性を見抜くのは無理。いいところしか見せようとしないのが普通ですから。僕も今すごくいいことを言ってますけど、デビル坂本は多分、デビルにならざるを得ないシチュエーションでしか出てこない。

人を見抜けないという前提で、極論エンジェル投資はダメで仕方ないと思っています。その中でも少しでも失敗確率を減らす上で、人からの紹介は、1つの安全装置として機能していると考えています。その人が「ダメだったら自分の顔に泥を塗られてしまう」というリスクを取った上で紹介しているわけなので、紹介者がイケてる人であるほど、最低限のラインはクリアしているのだろうと、安心しています。

ご自身の今後の展望は?

そんなに遠い将来のことは自分には予測できないという前提ではいるんですけど、とりあえずは今任せてもらっている漫画・アニメコンテンツの世界展開をやり遂げたいと思っています。

世界中で人気のコンテンツはたくさんありますが、「どうやって人気にしたんですか?」って聞かれて答えられる人があまりいないなという気がしていて。一言でいうと「たまたま」という答えが結構正しいのかなと。タイミングとか、色んな偶然が重なってとか。理由は分からないけどヒットしてる、みたいな話もよく聞きます。

再現厨の僕としては、これは結構意識しているところです。なんなら、ビジネス側の人間がもっと頑張らないと、いずれそれこそ今のインターネット業界みたいに、美味しいところを全部アメリカ勢や中国勢が持って行っちゃいました、みたいなふうになりかねないなという危機感を結構持っています。

なので、ちゃんと日本の会社がグローバルでのコンテンツ領域で勝ち切れるようにしていかなきゃいけない。自社だけじゃなくて他の会社さんとも連携しながら、ちゃんと日本の会社として世界で勝ち切るというところを、今後10年20年とかでやっていくべきだろうと思うし、その中で一翼を担えればいいなというのが、まず仕事上で思っているところです。

今の仕事は『営業 + 文化人類学者 + 戦略 + ちょっと投資家成分も』みたいな感じの組み合わせなので、知的好奇心が刺激されてそれもめちゃくちゃ楽しいですね。

エンジェル投資家としての展望は、全然ないですね。楽しいことは楽しいので、引き続きお財布に余裕がある限りは続けたいなという感じです。

最後に、起業家へのメッセージをお願いします!

そうですね、まず僕がキャリアや人間関係を考える上で大切にしている「徳ポイント」という考え方についてお話しさせてください。

これは10年前ぐらいに、幸せについて研究している人のセミナーを聞いて学んだ考え方です。自分を幸せにしようと思う行為、例えば『いい服を買う』みたいなことは、確かに幸せホルモンは上がるんだけど、落ちるのが早いんですよ。でも『人を幸せにしようと思ってやった行為』の幸せホルモンはなかなか落ちない。だから、人を幸せにしようとしていた方が、結果自分も幸せになる、という研究があるんです。

面白いのが、それを自覚して「自分を幸せにするために人を幸せにしよう」とする、利己的な利他行為もOKらしいんです。なので、自分が幸せになろうと思ったら、人を幸せにするための行動をし続けていればいいんだなというのが分かって、困っている人を助けてあげることにコミットすることに割と納得できるようになりました。

自分の子どもにもよく「あなたが将来的に豊かになれるかどうかは、どれだけ “徳ポイント” を積んだかで決まってくるよ」と伝えています。100助けたら100返ってくるわけじゃないけど、100助けたら10とか20ぐらいは返ってくるかもしれない。自分が与えた量とは無関係に、返ってくる量が多ければ多いほど幸せになれる、という感覚が実感値としてありますね。

このような考え方が、自分のエンジェル投資や人との関わり方の根底にある価値観です。

起業家さんに対してのメッセージとしては、そんなに潤沢に予算があるわけじゃないので「いつでもご相談してください」とは言えないんですけど、どちらかというと「一緒に頑張ろうぜ」という感じです。

僕もスタートアップの中の人としてやっているので、一緒に頑張ろうぜ。あわよくばどこかで僕らの人生が交差すれば何かご一緒するかもしれないけど、日本とか世界を良くする仲間として一緒に頑張っていこうぜ、という感じですね。俺たちの戦いはこれからだ!

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