「比べず、補い合い、楽しむ。全ては結果を出すために」 エンジェル投資家 大田和響子さん

2024-03-13

  • インタビュー

比べず、補い合い、楽しむ。全ては結果を出すために

エンジェル投資家 大田和響子さん

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Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家の大田和響子さんにお話を聞きました。

大田和響子
東京女子大学卒業後、新卒で楽天グループ株式会社へ就職し楽天市場のECコンサルタントを経験、その後アクセンチュア株式会社でコンサルタントとして従事したのち、先進テクノロジーに興味を持ち、2018年にラトナ株式会社を創業し代表取締役に就任。AIやIoT、特にエッジコンピューティング環境で動作するシステムの開発を行い、大手製造業や小売業の現場、物流業など、まさに人手不足が深刻化する業界において先端技術の力で効率化や自動化を推進することによる解決を目指している。東京都APT WomenやGoogle Women Founders in APACに選出されるなど女性起業家としても幅広く活動をする。

投資条件や投資実績がわかる!大田和響子さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)

まずは、大田和さんについて教えてください!

ラトナの代表取締役の大田和響子です。エンジェル投資家としても活動しています。

今は起業家でエンジェル投資家というキャリアですが、実は子どもの頃は母のように素敵な専業主婦になりたいと思っていました。大学時代、大の旅行好きで頻繁に海外旅行をしていましたが「もう少し意味のある感じで行きたいな」と思うようになり、留学よりも短期で参加ができた海外インターンシップを選びました。そこで人生が大きく変わります。

現地で関わる女性たちは皆バリバリ働いており、とても毎日が充実しているように見えました。それまでの私の経験では「働く=アルバイト」だったので、仕事は与えられたものをこなすイメージでしたが、彼女たちはどんどん仕事を生み出していくんです。「ビジネスって創るものなんだ」と認識が180度変わりました。

私がちょっと考えたことや思いついたことを話すと「それビジネスになりそうじゃん!」と前向きにディスカッションしてくれました。その環境にワクワクして、いつか私も起業したいと思うようになったんです。

就活では「将来起業したいという希望を受け入れてくれるか」かつ「将来起業するために必要なスキルが磨けるか」という観点で会社を探し、楽天株式会社に入社しました。

楽天では営業を担当していたのですが、会社から求められるKPIや達成すべき数字と、クライアントのための企画提案にギャップがあり、かなり悩みましたね。悩んだ末、体力には自信があったので「200%の力で働けばいいんだ!」という結論を出し、どちらも100%の力で向き合いました。2年目には、ほぼ常に売上目標を達成し良い成績を上げることができるようになりました。

その後、もっと深い視野でクライアントの課題解決に取り組みたくなり、アクセンチュアに転職。通常業務だけでもかなり鍛えられましたが、入社して3カ月ほど経った頃、クライアントにより良い提案ができるコンサルタントになろうと社内で勉強会を立ち上げたんです。フィンテックやビッグデータなど海外メディアで話題になっている最新のテーマを取り上げ、ディスカッションを行う会です。

1年半ほど続いた頃、ただのディスカッションではもったいないと思い、事業として立ち上げることになりました。出資をしてくれる投資家も見つかったのですが、「副業でやっているビジネスには出資できない」と言われ、独立を決意します。26歳の時でした。

なんとか6年ほどやってきましたが、人や資金、売るべきプロダクトが間に合わないなど、常に何かが足りないのがスタートアップ企業の辛いところですよね。私もまだまだ道半ばです。

大田和さんがエンジェル投資を始めたきっかけは何ですか?

明確に「エンジェル投資を始めよう」と思って始めたわけではないんですよね。

エンジェル投資に限らず、スタートアップの支援自体はラトナを立ち上げる前のアクセンチュア社員時代からしていました。私の場合、事業のお話を聞いていて「面白い!」と感じたら支援しようと決め、その支援方法を私自身が関わるかお金を出すかのどちらか選ぶというイメージです。

エンジェル投資の件数はまだ数件ですが、元々友達だった人が事業を立ち上げることになって、相談に乗っている流れで支援することになったパターンが多いですね。

現在はどのような企業に投資をしていますか?また、投資先とはどのような関わり方をしていますか?

具体的な投資先は明かしていないですが、やはりテクノロジー系が多いですね。私が面白いと思う領域かつ役に立てるイメージが湧くので。あとは、自分がBtoBをこれまでやってきて性に合っているので、あえて自分が今後もやらないであろうBtoCサービスに出資するパターンもあります。

toBのビジネスってお金の回り方を考えるのが難しい一方、一度モデルを作れてしまえばスケールを大きくしやすいイメージがあります。逆にtoCはどうすれば売れるのかは割と簡単に思いつきますが、細やかにフォローしなければいけないことが多く、比較的スケールするのが難しい気がしています。

また、私は個人の気持ちより法人の気持ちを考える方が向いていると思っているので、toCができる人を本当に尊敬してるんです!

関わり方はそれぞれ違います。当然ながらラトナの社長業が最優先なので、業務の時間を削って何か支援するわけではなく、日々出会う人の中で「あ、この人出資先に紹介できるな」と感じたタイミングで連絡したり「ここアドバイスできるな」と思ったらすぐお伝えするような感じです。

元々友達だったらご飯に行ったりもしますし、定期的に打ち合わせをしたりもします。でも基本的には起業家には事業に時間を割いてほしいので、こちらから時間を取ることは強いないようにしています。

魅力を感じる起業家はどのような人ですか?

1つ目は、いかにもメンタルが強そうな人です。経営をしていたら不安になることも弱気になることも当然あると思うんですが、そんな中でも勝ち気な人は頼もしいなと感じます。

2つ目は器用な人。私の言う「器用」は、「風を読める」「運を味方につけられる」というニュアンスです。運を味方につけられる力って、経営をする上でとても重要なことで、かつ勉強とは違う筋肉だなと思うんです。

ただ、これは別に天性の才能ではなく、視座と視野の話なのかなという気がします。風は自分では起こせませんが、追い風になったら有利になるのは間違いないですよね。であれば、日々アンテナを高く張って風を読んで、風が吹いた瞬間に乗っかれる下準備を積み重ねておく。

私はコンサル時代、とにかくニュースを見る量が多かったです。1つ1つの情報は薄くても、日々大量にインプットする。そうすると流れが見えてくるんですよ。例えば、「スタートアップは赤字でナンボ」みたいな風潮が長くありましたが、「近いうちに黒字化すべきという流れがくる」とかなり前から確信を持っていました。

要は、レッドクリフに出てくる諸葛孔明みたいな人です。東南の風を吹かせる場面、伝わるかな(笑)

3つ目は楽しそうな人。スタートアップ界隈の「ずっと質素であれ」みたいな雰囲気って、私は全然好きじゃないです。夢がないじゃないですか。

とはいえ私も、起業から1〜3年目くらいまでは武士のように自分に様々なルールを課していました。例えば、今結婚したら負けだ!投資家に迷惑をかけたくないし心配もされたくない!と思って「あえて今は結婚しない」と決め込んでみたり(笑)

でも今は、ある程度は、投資家には迷惑をかけていいのだと思うようになりました。迷惑をかけてでも私自身が健康で楽しんで全力で働いて、そのおかげで会社がうまくいけば結果的に投資家もハッピーなわけですから。

ちなみに1〜3年目は「1日15〜16時間働く!」と決めてゴリゴリ働いていた時期でもありました。4〜6年目の今は逆に、勤務時間を基本1日7時間以内に収めて効率化を重視するようにしています。トラブルや急用が出来た時の対応をする余裕もあるので、そういう時こそ、チームのメンバーが出来ない部分をカバーするのは自分だという責任を持っています。空いた時間は寝るか、美容や健康のために使うことが好きです。自分が常に心身ともにヘルシーでいられることが、最終的には会社や社会のためになるので。

これは、私の身に何か起きて気づいたのではなく、起業する前の2社での知見が効いています。ハードワーカーが多い職場だったので、体や心を壊す人が周りに多くいたんですよね。そこで、一度壊れてしまうと戻すのはとても大変だということを知りました。そのおかげで、壊れる前に手を打とうと、今のスタイルに変えることができました。

今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!

自分の会社が落ち着いたら、エンジェル投資をもっと精力的にやっていきたいという思いがあります。私自身、第一線でビジョナリーに未来を描いて組織を引っ張っていくよりも、実は支援の立場で冷静に何かをする方が向いていると思うからです。前者のような人は、本当に私がいくら背伸びをしても届かない素晴らしい能力をお持ちの方がいることも実感していて。今の会社でも、主役は技術開発メンバーだと思っているので、その意味では今も今後も変わらないです。

また、小さい会社同士を繋いでいきたいという気持ちが大きいですね。ここまで経営してきて、大きな夢を叶えるために小さい会社同士が協力し合う必要性をものすごく感じています。

競い合うのではなく、足りないところをスモールM&Aやパートナー提携や連合という形で補い合うのが良い気がしています。そんな私も今、自分の会社では積極的に事業提携を進めていっています。

起業家の方へのメッセージですが、「楽しみましょう!」に尽きます。良いことも悪いこともあります。皆あります。でも、意外と外からは見えないものなんだなと思うんです。特に、自分や会社の悪いことって自分には全て見えてしまいますが、周りは気づかないことが多いと感じます。そんなもんなんです。

いつもパワフルだと言ってもらえる私でも、しんどい時はあります。そんな時は私の場合、神経を鈍らせるのが一番良いと考えていて、お酒を飲んだり、死にそうになるくらいサウナに入ったり、シーシャに行って大量に煙を吸ったりします。あまり真似をしないでください。ぜひ皆さんも、自分に合ったハック術を見つけてください(笑)

とにかく、過程はどうあれ周りが見るのは最終的な結果なので、楽しみながら結果を出していきましょう!

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