
2023-11-14
インタビュー
失われた30年からの脱却の鍵となる新産業創出を、起業家と共に
WiL 小梶新さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はWiLの小梶新さんにお話を聞きました。
小梶新
三井物産にて、北米エネルギーインフラへの新規事業投資・事業開発に従事。その後、シリコンバレー発アクセラレーターのPlug and Playへ転職し、国内投資部門の立ち上げ、シード投資・投資先成長支援、スタートアップと大企業の協業支援を経験。2021年夏よりWiL参画。日本投資チームの一員としてアーリーステージ以降マルチステージにおけるスタートアップ投資に取り組む。慶應義塾大学法学部法律学科卒。投資条件や投資実績がわかる!小梶新さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)
まずは、小梶さんについて教えてください!
小梶新です。WiLのインベスターとして、シリーズAを中心としたアーリーステージ以降マルチステージのスタートアップ投資および投資先企業の成長支援に携わっています。
これまでの経歴としては、三井物産からPlug and Play、現職のベンチャーキャピタルのWiLと、期せずして大企業の世界とスタートアップの世界を橋渡ししていくようなキャリアを歩んできています。
プライベートでは、読書や映画・レコード鑑賞、ジムでの運動、美味しいレストラン巡りや美術館巡りなどが趣味です。どちらかというと結構インドア派ですね。反動からか、最近はサーフィンやキャンプなどのアウトドアに対する関心が湧いてきています。詳しい方、ぜひ教えてください(笑)
あと、好きなマンガは井上雄彦先生の「SLAM DUNK」と岩明均先生の「ヒストリエ」です。一生のバイブルです。
小梶さんが投資家になったきっかけは何ですか?
投資家になろうと思ったきっかけは最初の職場の商社で担当していた、大型の新規事業投資プロジェクトです。米国で天然ガス関連プラントを立ち上げるというプロジェクトだったのですが、サイドプロジェクトとして、当時最先端のVRアプリケーションをプラントへ導入できないかという話がありました。
そこでVR開発を請け負う企業として、UC Berkeleyからスピンアウトして創業されたスタートアップが候補にあがっていました。その後、実際にそのスタートアップが本採用されたのですが、導入検討プロセスにおいて彼らのデモを体験する機会において、競合の大手企業の製品と比較しても圧倒的に優れたUI・UXに感動しました。
その時に「これからは彼らのような優れたプロダクトを生み出すスタートアップが、世の中を変えていく時代だ!」と、心の底からワクワクした感覚は今も鮮明に覚えています。
その日から、寝ても覚めてもスタートアップのことが頭から離れず、貪るようにスタートアップに関するニュースサイトや書籍を読み込み、スタートアップ関連のイベントに潜り込む日々が続きました。
その内、元々商社での事業投資業務を通じてファイナンスに触れていたこともあり、ファイナンスとスタートアップの交差点上にあるVC投資家という仕事を自然と志すようになりました。
現在はどんなところに投資していて、投資先とはどんな関係ですか?
私個人としては、出来る限り特定のテーマやトレンドという表面的なラベルに囚われず、水面下で起きている本質的かつ抜本的な構造変化をユニークに捉え、そこに巨大な事業機会を見出しチャレンジしている企業や起業家を常に探し、投資しています。
具体例としてWiLで私が担当している投資先に、大手企業向けにESG情報開示支援クラウド「SmartESG」を提供するシェルパ・アンド・カンパニーという会社があります。
実は、私が投資検討をしていた当時、米国を中心にESGに対する批判が強まりを見せていました。現時点において、益々その論調は強まっています。
しかし「ESGは終わった」は、果たして本当にそうなのでしょうか。あらゆる企業の投資がソフトウェアや知的財産、人的資本等の無形資産へシフトする中、現行の財務諸表上でそれらの価値が正しく捕捉しきれていると本当に言い切れるのでしょうか。
資本市場や投資家が測ろうとしている価値が、現行の会計ルールが計測しきれていない非財務価値へ移行していく。この本質的な構造変化は中長期では止まらないだろう、というのが私がシェルパの経営陣と共有している仮説です。
先日、アーリーステージのスタートアップとしては珍しく、トヨタ自動車への「SmartESG」導入が発表されました。「ESG」というテーマが逆風下にあっても、日本を代表する大企業にシェルパの提供する本質的価値を評価いただけたのだと、知らせを聞いてとても嬉しくなりました。
投資先との関わり方ですが、基本的には起業家の考えやアイデアを尊重する、というのが私のスタンスです。事業については24時間365日考え抜いて実行されている起業家自身が最も詳しいはずです。
その上で、私自身はWiLがこれまで投資を行ってきた米国および日本における先行事例や、投資家としてより多くの多様なビジネスを見てきた経験を活かしながら、事前に先回りして回避すべき落とし穴を共有したり、微力ながら目指す将来像の目線をより数段ブラッシュアップしていくお手伝いをしたりしています。戦友として付かず離れずの距離感を意識していますね。
魅力を感じる事業や起業家はどのような人ですか?
「浪漫と算盤」のバランス感覚に優れる経営者に惹かれます。
言い換えると、自身の事業の秘めるポテンシャルの大きさを語るのと同じだけの粒度で、その事業の抱えるリスクを語ることの出来る方に惹かれます。
あらゆるビジネスにはリスクが付き纏います。ましてや、短期間で大きなスケールを狙うスタートアップであれば尚更ではないでしょうか。
我々VC投資家は、起業家が創り上げようとされるビジネスのアップサイドの大きさに惹かれて投資を行います。しかし、その裏側で同じぐらい大きなダウンサイドリスクを抱えていることも認識しています。リスクとリターンは表裏一体の関係です。
周囲の人々を魅了するストーリーテリングの力(浪漫)と、自社のビジネスを実行していく上で想定されるリスクを正しく認識し、見積もる力(算盤)、これらをバランス良く持ち合わせる経営者であれば、共に困難を共有して打開策を見出し、アップサイドを実現していけるのではないかと思います。
今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
広義の芸術に造詣が深い両親の下で育った影響で、幼い頃より浴びるように映画や音楽、アート作品などに触れ、慣れ親しんで来ました。そういった経験から、私自身はVCという職業の役割を、起業家というある種のクリエイターを陰で支えるプロデューサーのように捉えています。
ビートルズが世界的アーティストへと駆け上がる旅路を裏側で支えた名プロデューサーのジョージ・マーティンのような役割を果たす投資家として、起業家が偉大な会社を創り上げる旅路をご一緒させていただけたら本望です。
私が生まれた1990年代から、日本はとうとう失われた30年を過ごしてしまいました。このままでは失われた40年にも突入しかねない、健全な意味での焦燥感や危機感を覚えています。
失われた30年からの脱却の鍵となる新産業を、起業家の方々と共に創り上げていきたいです!
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